「P連はPTA会長の立身出世のためにあるのではない」解任された元副会長が「会長の勘違い」に釘をさす
PTA改革の流れが全国に広がるなか、最近は「P連改革」の話もよく聞くようになってきました。各PTAにおける保護者に対する強制をなくそうとしても、結局最後に「P連によるPTA(会員)への強制」が残ってしまうため、手を付けざるを得なくなるわけです。※P連=PTAの連合組織 ですが、P連改革はPTA改革以上に苦戦する人が多い印象です。地道に少しずつ改善を試みている人たちもいますが、「どうにもならず、やむを得ずP連を退会した」という話も、実際とてもよく耳にします。 細かい違いはもちろんありますが、こういったP連には似通った共通の問題点が見られます。今回はその一例として、O県のとある市P(市単位のP連)で副会長を“解任”されたPTA会長・ワタルさんの話をお伝えします。 【画像】運営方法や組織、役割の見直しなどを行っているPTAの割合は?
◆「上へ行く」ため、任意周知による会員減は避けたい
ワタルさんは2020年度からPTA会長になり、現在5年目。2022年度からは市Pの副会長と、2023年度からは県P(県単位のP連)の理事も兼任してきました。ワタルさんは市Pや県Pにかかわるようになってから次第に、P連の運営や研究大会の参加費、開催方法などについて、疑問や違和感を抱くようになりました。 例えば「PTAにおける任意加入の説明や入退会届の整備について、県Pあるいは市Pとして指針を出したほうがいい」といくら提案しても、上層部は耳を貸しません。特に「県Pの会長になりたい」「上の役職につきたい」と考える人たちは、「会員数の減少=自らの失点」と捉える傾向があり、入退会届の整備には消極的でした。PTA単位では改革路線の方も一定数いたものの、主流派にはなり得なかったのです。 ブロックや県の研究大会に対しても疑問が募っていました。本来そういった大会で提供される知見は、PTA会員みんなに共有されるべきものですが、そのための手段が何もなかったからです。そこでワタルさんは「Zoomなどで配信するか、動画を撮影してアーカイブを残し、後でみんなが見られるようにしよう」と提案しましたが、これも「無料で見られるようになれば参加者(参加費)が減ってしまう」というので、検討すらしてもらえなかったそう。 また、PTAの会計や監査は事務員や担当者任せで、PTAによっては現場でかなり混乱が生じていたため、ワタルさんは市Pに「もっと充実した会計や監査の研修を行ってほしい」と求めましたが、これも「各PTAに任せている」と言われておしまいだったとのこと。 「P連がその辺をもっとサポートできれば、各PTAの負担が減り、より継続性のある運営が可能になるだろうとお話したんですが、ほとんど変わりませんでした。P連は『必要な事業をやろう』とか『必要とされる団体になろう』ということより、『会員(会費)や動員数(参加費)を維持したい』『例年通りの行事を維持したい』ということが中心で、そのために会員の時間やマンパワーが搾取される、という状況でした」(ワタルさん)