世界的な学力調査「TIMSS2023」、日本は上位維持も「理数系の興味関心」で男女差 1人1台端末を使ったCBTで初参加、影響は小さい
PISAと並ぶ世界的な学力調査
2024年12月、国際教育到達度評価学会(IEA)は、2023年3⽉に実施した「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」の調査結果を公表した。 【ランキングを見る】国際順位を見ると日本は上位グループに入った TIMSS(ティムズ、Trends in International Mathematics and Science Study)は、オランダ・ドイツに本部のあるIEAによる算数・数学と理科の調査で、1964年に初めて実施され、1995年からは4年ごとに調査が行われている。 OECD(経済協力開発機構)が、15歳を対象に2000年から3年ごとに行っている国際的な学習到達度調査、PISA(ピサ、Programme for International Student Assessment)と並ぶ世界的な学力調査だ。
上位グループを維持、今年からCBTで参加
TIMSS2023には、58か国・地域から約36万⼈の小学生、44か国・地域から約30万⼈の中学生が参加。日本からは⼩学4年⽣3875⼈(141校)、中学2年⽣3905⼈(133校)が参加した。 2019年に実施された調査と比較すると、理科の平均得点は下がったものの算数・数学は前回並みだった。 国際順位は、小学校4年生の算数が5位、理科が6位、中学校2年生の数学が4位、理科が3位で上位グループに入った。日本は、GIGAスクール構想で整備された「1人1台端末」などを使って、前回調査から導入されたCBT(Computer Based Testing)で参加したが、CBT移行の影響は小さいと考えられるという。 TIMSSにはアンケート調査もあり、「数学、理科を勉強すると、⽇常⽣活に役⽴つ」「数学、理科の勉強は楽しい」と考える日本の中学⽣の割合が増加傾向にある⼀⽅、「算数・数学、理科は得意だ」と思う⼩・中学⽣の割合が減少している。 また算数・数学、理科の平均得点は、⼩・中学⽣いずれも男⼦のほうが⼥⼦より⾼く、算数・数学、理科への興味・関⼼も男⼦のほうが⼥⼦より⾼かった。 経団連によれば、日本企業の理工系女性の採用意欲は高まっているが(経団連 博士人材と女性理工系人材の育成・活躍に関するアンケート結果〈2024年2月〉)、諸外国と比較して理工系を専攻する女性の少なさが課題となっている。なぜ、理数に興味・関心を持つ女子が少ないのか。学習意識の違いに着目して、授業改善につなげたいところだ。 アンケートでは、ICTを活用した学習に関する質問もあり、情報端末を児童⽣徒の学習改善に取り⼊れる⾃信がある教師の指導を受けている児童⽣徒の割合は、国際平均より低かった。 国立教育政策研究所 IEA国際数学・理科教育動向調査(TIMSS) https://www.nier.go.jp/timss/ (注記のない写真:すとらいぷ / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部