事業成長の鍵を握るのは「巻き込み力」4,000人以上の経営者を見てきた投資家の判断基準とは
投資先を見極める際の3つの基準。さらに稼ぐ力も見る
投資家でありながら、自身の会社を通じて採用支援も行う高野氏。これまでに4,000人以上の経営者と会い、採用相談に応じてきた経験を持つ。「実は控えめに言っていて、実際にはもっと多くの経営者に会っていますよ(笑)」と冗談めかしながら語る。数多くの経営者を見てきた高野氏でも、投資先を見極めるのは容易ではないというが、その際に重視する3つの基準があると話す。 「正直、今でも投資先を見極められているとは思っていません。その中で投資先を決める際、まずシンプルに『この人を応援したいか』、もっと言えば、『この人と一緒に働きたいか』が重要です。そして、投資の際に重視している3つのポイントがあります。それは『経営者の巻き込み力』『マーケットの成長性』『そのマーケットで勝てる経営陣』です。特に巻き込み力というのは、お客様を集める営業力だけでなく、投資家や社員を引きつける能力も含まれます。資金援助も含め、仲間を作れなければ、会社の成長は望めません。U-NEXT HOLDINGSの宇野康秀さんが言うように、『ビジネス人格は作り上げるもの』であり、巻き込み力を備えるにはビジネス上の自分を磨く必要も出てくるでしょう。巻き込み力がなければ、ソロプレーヤーになるか、もしくは巻き込み力のあるナンバー2を雇うという選択になると思います。そして、事業を展開するマーケット自体に成長性があり、経営者だけでなく優秀な人材が揃っているかも重要なポイントです」 さらに、高野氏は「稼ぐ力があるかどうか」も重要視しているという。 「例えば、いきなりプラットフォームを作るよりも、いま風に言えば、ソリッドベンチャーとして早い段階から売り上げを上げている会社が個人的には好きです。ビジネスの原理原則として、お金がなくなったら稼げばいい。しかし、お金を集めることにばかり注力してしまうのは本末転倒です。もちろん、すべての事業が黒字である必要はありません。特にToC向けのビジネスは、ある程度のユーザー数に達するまでは赤字運営であることが一般的で、投資が前提なケースもあります。しかし、投資を受けることが一種のファッションになっていないかは、判断材料として見ています。エンジェル投資家の場合、自分の資金を使うため、投資しなければならない義務はありません。ベンチャーキャピタルや投資ファンドとは異なり、マインドセットも違うわけです。とはいえ、目先の利益を追うという意味ではなく、ビジョンが大きいことは大前提です。ビジョンがなければ、会社は成長しませんから」