5500年前は会計ツール…世界最古の文字はこうして生まれた
円筒印章に書かれた記号がマッチした
この疑問に答えるため、研究チームは円筒印章のモチーフと原くさび形文字の記号の類似点を、1つ1つ探すことにしました。その目的は、形状だけでなく意味のつながりを特定することです。研究チームが注目したのは、文字の発明以前に誕生し、原くさび形文字の出現と共に発展し続けた円筒印章のモチーフでした。 そしてついに研究者チームは、壺や布の輸送に関連するモチーフの発見に成功。それが特定の原くさび形文字の前身であり、それがこれまでにない「文字以前の記号体系と文字の発明との間の特定の連続性」を強く示すものだと述べています。
文字は先史と歴史を分ける画期的発明
フェラーラ氏は「文字以前の“シンボル”から文字への概念的な飛躍は、人間の認知技術における重要な発展です」と結論づけています。 「文字の発明は先史時代から歴史時代への移行を示しています。 今回の研究結果は先史時代後期のイメージがどのようにして最古の文字体系に組み込まれたかを示すことで、この隔たりを埋めています」 結局のところ、今回の発見が古代文明の最も偉大な成果であることは間違いないでしょう。文字が生まれたからこそ、人類は長距離通信や記録保存、文学といった大きな進歩を遂げることができました。その「最古の文字」の起源に、この研究がスポットライトを当てることになったのです。
R.Mitsubori