性的被害を受けた米国女性たちが声を挙げる #MeToo はなぜ巨大化したのか
大きなうねりが大小も有無も飲み込んでいく
ジルブランド上院議員は、これまでにもタブー視されていた軍隊内のセクハラ・性暴力問題を議会で報告してきた人物。ヒラリー・クリントン氏の後継者として、(本人はその可能性を否定していますが)2020年の大統領選候補にその名が挙げられることもあるほどの議員です。 続いてトランプ大統領にも辞任を求める発言もしました。これに対し、トランプ大統領がTwitterで「選挙資金のためなら彼女は何でもする」と「ふしだらな女」扱いをして波紋を呼ぶと、ジルブランド氏も「この問題で私を黙らせることはできない。あまりにたくさんの女性たちの訴えを聞いているから」と反撃して、改めて辞任を求めました。 ところがここに来て民主党内から、フランケン氏に辞任を考え直すよう促す動きが出てきています(辞任の予定は来年1月2日)。18日付のPoliticoによると、少なくとも4人の民主党議員が同氏に辞任の再考を求めているといいますが、そのうち2人はもともと辞任要求の声明に加わっていた議員たち。彼らが言うのは、フランケン氏が倫理委員会に身を委ねると言っていたにもかかわらず、「真実が明らか」になる前に辞任に追い込んでしまったのは時期尚早で、過ちだったということです。 また民主党のなかには、女性の体を“不適切に触った”などの疑惑が持ち上がっているフランケン氏が辞任してしまえば、“未成年の少女へのわいせつ行為”という「重大な刑事犯罪」疑惑で落選したロイ・ムーア氏と同等の扱いになってしまう、それは行き過ぎではないのかという意見もあります。何よりこれまで16人の女性がセクハラ被害を訴え、うち4人は米議会に調査を求めているトランプ大統領は全く無傷のままです。 嵐のような大きなうねりとなった#MeTooムーブメントは、確かにこれまで声なき存在だったサバイバーたちに声を与え、前代未聞のスピードで社会にインパクトを与え続けています。一方で、セクハラ・性暴力の「大小」は関係なく、時に事実の「有無」さえおかまいなしにすべてを飲み込んでいってしまうほど、そのうねりが力強くなりつつあります。 ある日突然、事実関係の調査もなしに「そういう訴えがあったから」という理由だけで、無実かもしれない人が人事部に呼び出され、解雇されることもある……。米議会上院議員という米国でもっともパワフルな地位のひとつにいるフランケン氏さえ、事実調査の機会を与えてもらえなかったのですから、実際に想像だけの話とはいえなくなっています。