所得減税の実現迫る玉木国民代表、与党過半数割れで政策論争の主役に
(ブルームバーグ): 衆院選で28議席を獲得した国民民主党の玉木雄一郎代表が与野党の政策論争の主役に躍り出ている。来年の参院選もにらみ、当面は「年収の壁」引き上げによる所得減税の実現を引き出すことで、さらなる支持の拡大を図る構えだ。
「政権の延命に力を貸すつもりはない。皆さんに約束した手取りを増やす経済政策の実現に全力を傾ける」。グレーのパーカ姿でカメラの前に現れた玉木氏は2日午後10時すぎから、ユーチューブの生放送で自らの政治信条と党運営について約1時間にわたって説明し、与党と政策協議を進めることへの理解を求めた。
衆院は自民、公明の与党と野党第1党の立憲民主党がいずれも過半数を獲得していないハングパーラメント(宙づり議会)となり、国民が国会運営の鍵を握る。衆院選では「若者をつぶすな」と訴え、所得減税など若者・現役世代に焦点を当てた政策を掲げ、議席を4倍に拡大。与党が連携への秋波を送るが、玉木氏は政策本位で立民など他の野党とも協議する姿勢を見せる。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは玉木氏の対応について「妥協のカードを切ってしまったら最後だと思っているからぎりぎりまで自分の経済政策が通るように交渉を続けると思う」と語る。一方、石破茂首相は「カウンター攻撃のタイミングを考え、どうやったら状況を反転して次の選挙に向けて弾みをつけあられるか考えている」と指摘。国民に「押し込まれっぱなしにはならない」とみている。
玉木氏は8日の記者会見で、来年の参院選でも議席を増やせるかどうかが党勢拡大への大きな試金石だと強調。その上で、政策協議を通じ、衆院選で掲げた手取りを増やす経済政策を「何が何でも実現したい」との決意を示した。11日には石破首相と党首会談を行う予定だ。
若者に支持拡大
2018年から自身のユーチューブチャンネルで政策を幅広く発信してきた。定期的にライブ配信も行い、お酒を手にリアルタイムでコメントを読み上げながら有権者に語り掛ける手法が若者を中心に支持を広げ、登録者数は約40万人に増えている。党のチャンネルも登録者数は約17万人と、自民の約14万人、立民の3万人を上回る。