ハンバーガー業界で“圧倒的な差”をつけるマクドナルド。業界2位のモスバーガーに勝ち目はあるか
外食売上1位と経営の考えが全く違う!
現在の外食売上ランキング1位はゼンショーだが、その座を明け渡す前のトップはマクドナルドだった。マクドナルドは、直営店中心の運営をFC事業中心に変更し、売上至上主義から利益至上主義に転換した。 計画的な売上抑制であるマクドナルドの売上は、1位ゼンショーの半分以下の3819億円だが、営業利益は408億円で10.7%と2桁以上の高収益率である。経営路線の変更が如実に数字に表れている。 ゼンショーグループは外食売上ランキング首位で、多種多様な業態を傘下に持つ外食最大手である。M&Aを駆使した成長戦略で、連結売上7799億円、総店舗数1万283店舗、傘下に19ブランド(2023年3月末時点)を保有する規模を誇っている。収益性は営業利益217億円、営業利益率は2.8%となっている。 売上規模が大きいとスケールメリットが発揮できたり、取引先との力関係で優位になることも多いが、マクドナルドはそれよりも効率経営による確実な利益の確保とリスク回避を選定したのであろう。 これらは、財務状態を見ても、自己資本比率が28.2%のゼンショーに対して72.8%と高いマクドナルドでは、資本の安定性に大きな開きがあり、両社の戦略の差が如実に数字に表れている。
両店の価格差はほとんどなくなっている
低価格商品の販売でも採算がとれるよう、コストリーダーシップ戦略で市場を牽引してきたマクドナルド。しかし、低価格で客層に変化が生じて店に負のイメージが浸透してしまったため、商品の付加価値化で負のイメージを払拭する路線に転換してきた。 マクドナルドには元祖ハンバーガー170円はまだあるが、ランチタイムに対応した昼マックはクーポン券使用で600円台である。同程度の金額を使うなら低価格のファミレスに行く人も多いだろう。 商品による差別化で対抗しようと考えていたモスバーガーは、高価格、高品質という高級路線を推進し、商品に原価をかけていた。もちろん、美味しく品質の高いハンバーガーの提供を維持するなら、それなりの価格が必要だ。だからマクドナルドとは100~200円の価格差があったが、少し高くても鮮度が高く手作り感があるモスバーガーを好むお客さんは多く存在し、そういったグルメ志向のお客さんに支えられていた。 以前は、お客さんが持つ両社のイメージとしては、低価格のハンバーガー店のマクドナルドと、少し高いが商品力が強いモスバーガーというイメージが定着していた。しかし、マクドナルドとモスバーガーの価格差がなくなってきているといえるのではないだろうか。