ハンバーガー業界で“圧倒的な差”をつけるマクドナルド。業界2位のモスバーガーに勝ち目はあるか
ファミリー層の獲得を目指すマクドナルド
マクドナルドは1990年代~2000年代前半まで価格破壊で消費者を驚かせ、徹底した低価格路線で集客力を強化して規模の経済を発揮していた。「週末は家族でマクドナルドに行こう」などのイメージが定着し、幸せな家族の憩いの場といったブランドイメージもあった。 しかし、低価格路線を推し進めたため、若年層に限られた客席を占領され、ファミリー客が締め出されるようになってしまった。当然、業績が悪化したため2000年後半に入ると方針を転換し、価格帯の拡大と商品バリエーションの拡充で店の雰囲気の刷新を図った。 同時に高価格帯の商品の投入、味と品質重視の商品、ボリューム感ある商品の拡充、キャンペーン商品などの頻繁な導入で、主要顧客層であるファミリー客とその周辺顧客の囲い込みを図っていった。
営業利益率10%を上回るマクドナルド
【マクドナルドの業績(2023年12月期)】 売上:3819億円(直営2596億円、FC1222億円) 原価:3100億円(直営2356億円、FC744億円)※人件費含む 原価率:81.2% 総利益:719億円 販管費:299億円 営業利益:419億円 営業利益率:10.9% 日本マクドナルドホールディングスは他人資源を効果的に利用した効率経営で本業の儲けである営業利益率は10%を上回っている。 今や店舗の7割を占めるフランチャイズ店、社員の独立支援を積極的に支援し、経営理念共同体として同じ目的を共有し、強固な関係を維持している。これらにより固定費を軽減し、損益分岐点の低い経営を実現している。もちろんリスク回避も万全だ。
モスバーガーは高品質ゆえ原価率も50%超
【モスバーガーの業績(2022年3月期→2023年3月期)】 売上:784億円→851億円 営業利益:419億円→4100万円 営業利益率:4.4%→0.04% 自己資本比率:69.4%→64.3% モスバーガーを運営するモスフードサービスの決算書から見ると、売上は増加して851億円だが、営業利益は減少して4100万円となっている。収益性はマクドナルドと比較して低いが、自己資本は64.3%と充実しており、財務基盤は盤石である。 モスバーガーの2023年3月期の原価率は54.6%とやはり商品力の強みがあるだけに高くなっているようだ。昔は直営店中心のマクドナルドだったが、今は7割がフランチャイズとなっている。