将来の夢は「プロ野球じゃないとダメですか?」 四国の小6逸材が秘める“格別な憧憬”
NPBジュニアトーナメントに出場…四国ILジュニア・立岩駿が明かす“憧れの人”とは
東京・神宮球場と埼玉・ベルーナドームを舞台に、セレクションで選ばれた小学5、6年生がプロのユニホームで戦う「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2024~第20回記念大会~」が26日に開幕する。20回目を迎えた今大会は、12球団以外にも4チームが招待チームとして参戦するが、その1つ、「四国アイランドリーグPlusジュニア」には四国4県在住の16人が選出。注目選手は、侍ジャパンU-12代表にも選ばれた立岩駿選手(6年=古高松ブルースターズ)だ。 【動画】多様なボールで指先感覚が身に付く 小学生におすすめ“腕の力み”を解消する「放物線スロー」 同チームの指揮を執る駒居鉄平監督(元日本ハム)は、立岩くんについて「投げる方には安定感があるし、バッティングにも力があります」と評し、「どんどん声を出してチームを引っ張っていかないといけない立ち位置にいる選手。どんなことがあっても仕方ないと思わずに、立ち向かっていってほしい」と期待を込める。 所属する学童チームでは当初、主戦級ではなかったというが、今年8月にあった「NHK杯県学童大会」の決勝で先発のマウンドへ。5イニングを無失点で抑えると、その後はマスクを被って捕手を務め、6-0の完封勝利に貢献した。打撃でも3回に先制のランニングホームランを放つなど投打で活躍し、28年ぶりの優勝に貢献した。 さらに11月には投手兼内野手として日の丸を背負い、愛媛県松山市で開催された「第11回 BFA U12アジア野球選手権」で世界3位に。同チームを率いた仁志敏久監督(元巨人)らから「栄養バランスにも気を付けてご飯を食べることとか、普段の生活の中での心掛けの大切さを教わった」こともためになったと立岩くんは話す。全国から集まった同世代の球児の振る舞いからも刺激を受けたという。
神宮大会で躍動した兄の背を追う…いつかは同じ“ユニホーム”を
まだ小学生の立岩くんだが、NPBジュニアトーナメントを経験した先にどんな未来を描いているのだろうか。将来の夢を聞くと、困った顔をして俯いた。そして、しばらくしてから意外な言葉が返ってきた。「プロ野球選手じゃないとダメですか?」。時間が欲しいと話し、また考え込む。 実は、立岩くんには憧れの存在がいる。その人物とは、2018年秋の明治神宮大会に高松商の4番打者として出場した長男・知樹さんだ。八戸学院光星との2回戦で決勝の3ランを叩き込んで4強入りすると、翌2019年は春夏連続で甲子園にも出場。当時まだ幼稚園に通っていた4男・駿くんにとって、チームの勝利に貢献する兄の姿が、窮地を救うヒーローと重なった。 そんな特別な想い出が、ジュニアトーナメントの舞台となる神宮にはある。意を決し、打ち明けてくれた将来の夢は「四国電力に入ること」。香川県高松市に本社を構えるインフラ会社で、知樹さんが働いている職場だ。仕事着という同じ“ユニホーム”を着て、社会の役に立ちたいと考えている。 「野球だけじゃなく勉強もちゃんとするように」。事あるごとにそうアドバイスしてくれる兄の言葉を受け止め、自分自身も“ヒーロー”を目指し、神宮球場の夢舞台に臨む。
喜岡桜 / Sakura Kioka