第159回直木賞受賞会見(全文)島本理生さん「今回は完全に恋愛は切り離そう」
夫の佐藤さんには受賞を伝えたのか
ニコニコ動画:ニコニコの【タカハシ 02:19:00】です。受賞おめでとうございます。ニコニコ動画はご存じでしょうか。 島本:知ってます。 ニコニコ動画:ありがとうございます。では現在視聴している視聴者からの質問を代読させていただきます。東京都30代の方からの質問です。先ほど旦那さんについてのエピソードのお話がありましたが、受賞についてはすでに夫の佐藤さんにはお伝えになったんでしょうか。 島本:はい。受賞が決まってすぐに電話で連絡しました。 ニコニコ動画:もし差し支えなければそのときの佐藤さんのお言葉を聞かせていただければと思うんですけれども。 島本:おめでとうと言ったあとに、子供にママ、1等賞になったよって言ってましたけど。 ニコニコ動画:そのほかは何かお話とかされてました? 島本:いえ、もう飲み歩いてきてもいいからねっていうふうに言われました。 ニコニコ動画:ありがとうございます。 島本:ありがとうございます。 司会:じゃあ。
芥川賞ではなく、直木賞を受賞できたという特別な思いはあるのか
読売新聞:どうもおめでとうございます。読売新聞の鵜飼です、どうも。島本さん、芥川賞は高校のときにもう候補になって、ずっと。前回は芥川賞で今回は直木賞なんですけれども、芥川賞ではなくて今回直木賞っていうことで、ご自身の中で芥川賞か直木賞かっていう違いとか、今回直木賞で受けたっていうことに対しての特別な思いとか、芥川賞じゃなかったことに対する特別な思いとか、何かあるんでしょうか。 島本:それよりは、自分が納得できる小説で受賞できたっていうのが一番大きいかなというふうに思います。結果的にこういう執筆の形が合っていたのかな、ちょっとジャンルに関しては難しいところですけれど、もうこの小説で良かったなというのが一番ですね。 読売新聞:あともう1つ、非常に若い時期に、同じ世代で綿矢さんとか金原さんとか早く、デビューは島本さんが一番早いほうだったんですけれども、今、この時期にこういう大きな直木賞を取れた、つまり若い時期じゃなかったっていうことに対しては何か思いはあるんでしょうか。 島本:もっと若いころは、やっぱり自分のために賞が欲しいっていうところがすごくあったんですけど、もうここ数年ぐらいは、それよりはずっと読み続けてくれた読者の方だったりとか、あとお世話になった担当の方たちが喜んでくれたらいいなという気持ちがすごく強くなってたので、そういう気持ちがすごく強くなっていたときに受賞できたのが、結果的にすごく良かったなというふうに思います。 読売新聞:もう1点、選考委員の北方謙三さんが特に評価されたのは文章の良さということで、非常に文章、抑制の利いていて、恐ろしいこととか何かも、非常に平明な文章を使いながら行間に怖さがあふれ出てくるような、そういう文章が素晴らしいっていう評価がありましたけれども、やっぱり島本さん、本当にデビューのころから文章と会話の使い方の抑制っていうのは非常に思い出すことが多いんですけれども、やっぱり言葉の使い方とか書き方っていうことに対する姿勢、またはそれが変化してきたことがこの18年なりであったのか、そこを最後にお伺いできればと思います。 島本:でも、もともとは自分の感覚だったり、ちょっと感情に任せて書いているところがすごくあったんですけど、この小説1冊の執筆を通して、かなり筆が変わったんじゃないかなというふうに思います。それはやっぱり担当の方がすごく厳しく見てくださって、それこそ、私は大事だと思った文章も結構がんがん【メンデトラレタリ 02:23:06】とかもしましたし、それで最終的にすごく抑制が利いたものになったんじゃないかなというふうに思います。 司会:島本さん、受賞会見を受けて、何か最後におっしゃりたいことがあれば。よろしいですか。 島本:でも、私は受賞のお電話いただいたときに、私はガッツポーズをしました。ちょっと恥ずかしいんですけど。 司会:ありがとうございました。 島本:ありがとうございました。 司会:これで、じゃあ。これにて第159回芥川賞・直木賞の受賞記者会見を終了いたします。長時間どうもありがとうございました。 (完)