第159回直木賞受賞会見(全文)島本理生さん「今回は完全に恋愛は切り離そう」
18年間、小説を書いていて技術の向上や自信が付いたのか
読売新聞:読売新聞の【カワムラ 02:11:15】と申します。受賞おめでとうございます。 島本:ありがとうございます。 読売新聞:今回は法廷シーンを含めて、初めて挑戦することが多い小説だったと。それがこういう形で大きな賞に輝いたということについて一言いただければと思います。あと、昔であれば自分は事件シーンなんかは、事件ものなんかを書くのは難しいんじゃないかって思われてたと思うんですが、18年やってこられたっていうのは、やっぱりそれだけの技術といいますか、自信が付いたということなんでしょうか。 島本:そうですね。書き続けていく中で、自分にもこういった題材が書けるかもしれない、やっぱり少しずつ手応えを感じるようになってきたのと、あとはやっぱり今回の小説に関しては、もう担当の方がもう取材から、最終的な内容の細かい詰めまで本当に丁寧に見てくださって、時には議論なんかも重ねたり、地方の裁判所にも本当に朝から連日一緒に通ったり、本当にこの小説にすごく向き合ってくださったので、その中で自分が成長できたというふうに思っています。 司会:ほかに。
直木賞受賞で、今後の作家活動はどうなっていくのか
毎日新聞:毎日新聞の内藤と申します、おめでとうございます。今回、芥川4回の候補、直木2回の候補で直木賞を射止めたわけですが、直木賞を射止めたことによって、今後書くものですとか、作家活動ですとか、どんなふうにしていこうとお考えでしょうか。 島本:ちょっともう、先ほど受賞が決まったばかりなので、まだちょっと見えてない部分もあるんですけど、でも自分が書いてきたテーマも、よりこれからさらに突き詰めて深みを増していければいいなというふうには思ってます。 毎日新聞:では、例えば直木と芥川というのは、わりとちょっとエンターテインメントと純文学みたいなことをいいますけれど、そういう差というものはもう考えないでお書きになっていくというようなことでいいんでしょうか。 島本:そうですね。私の小説が好きで、手に取ってくださる読者の方たちと向き合いながら、自分がもう書きたいものを書くというふうに、これからは向かっていこうかなというふうに思います。 司会:ほかにご質問のある方。