背番号未定……期限付き移籍か、レアルトップチーム抜擢か、久保建英の行先が揺れている理由とは?
そうした状況で、ジダン監督が口にした「どんなことでも起こりうる」が、マジョルカから届いた期限付き移籍のオファーとなる。 同時にレアル・マドリードもけが人が続出する非常事態に直面し、さらには開幕戦で一発退場となったMFルカ・モドリッチ(33)に出場停止処分が科される逆風も加わる。 ジダン監督は20日の練習から、再び久保をトップチームに招集している。クラブの公式ツイッター日本語版にはブラジル代表のDFマルセロ(31)や、今夏にFCポルトから加入した同じくブラジル代表のDFエデル・ミリトン(21)と競り合う写真がアップされている。 ラ・リーガにはベンチ入りおよび出場がともに「3」を上限とするEU圏外選手枠が設けられていて、現状ではミリトン、開幕戦で先発したFWヴィニシウス・ジュニオール(19)、今夏に加入したFWロドリゴ・ゴエス(18)のブラジル人トリオで行使される予定だった。 しかし、期待のロドリゴを含めて、戦線離脱組に攻撃的な選手が数多く名前を連ねている状況を踏まえれば、久保がホーム開幕戦となる24日の次節でメンバー入りする可能性は決してゼロではない。期限付き移籍のオファーを断ったバジャドリードが対戦相手という偶然も、何かの縁を感じさせる。 中学生年代から今夏まで所属したFC東京で、プレーするカテゴリーを上げるたびに久保はこんな言葉を残してきた。掲げる視線の高さは、新天地をスペインに求めたいまもおそらく変わらない。 「自分が成長し続けるために大切なのは、やっぱり気持ちだと思います。具体的には貪欲さというか、上にはさらに上がいるということ。まだまだ自分は下の方にいるので、どんどん追い越せていけるように、という気持ちを抱きながら毎日を過ごしていきます」 今回のようにけが人や出場停止者がここまで重なるタイミングも、長いシーズンのなかで極めて珍しいと言っていい。肝心の試合がカスティージャ中心となるのであれば、マジョルカへの期限付き移籍が急浮上してきたこともうなずける。出場機会が保証されているオファーであれば、久保本人および久保の父親が考えを一変させてもおかしくはない。 夏の移籍期限が刻一刻と迫るなかで、久保は目の前の戦いであるバジャドリード戦のメンバー入りへ向けたアピールを必死に積み重ねながら、中長期的な成長曲線を左右する決断をも下すことになる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)