3億円の資産でミニリタイヤした女性、経済的自立までの戦略を語る。──そして、なぜ彼女は職場復帰を望むのか?(海外)
経済的自立を達成するための戦略
さまざまな調査を行なったのち、夫妻はコストの削減に取り組むようになった。車の1台を売り、質素な家を買い、旅行や友人との外食に使うお金を制限した。また、早くから上場投資信託や個別株などにも投資した。 ホロックス氏は、最初は予算管理に深入りしすぎたと認める。たとえば、予算を守るために美容院へ行くのを翌月まで先延ばしにすることもあったそうだ。彼女は、そのせいで「モンスターが生まれた」というが、厳しく予算を管理した甲斐があって、長期的な目標を達成するための軌道に乗ることができた。 夫妻はバブル崩壊の直後から、投資用物件の購入に踏み切り、それぞれ5万ドル(約750万円)から7万ドル(約1050万円)の価格で6件のコンドミニアムを手に入れた。そうした物件が毎月1000ドル(約15万円)の収益を上げたため、彼女は仕事をやめて、不動産だけに集中しようかとも考えた。だが、夫がその考えを嫌い、最終的には、夫妻はすべての物件を売り払い、そこで得た資金を退職金口座に入れた。 サビーナ・ホロックス氏はデータモデル、Excel、SQLなどの言語を学び、出世を続けた。キャリアの初期に、大規模なレイオフで彼女がいた部署のほぼ全員が解雇される出来事があったため、夫妻はレイオフの被害に遭った場合の余裕をつくるために、「懸命に」働き続けた。 2010年代、彼女はセールスオペレーションマネジャーとして数社を渡り歩き、効率化と顧客ベース拡大のためのプロセスを開発した。会社の金銭的支援を受けて、MBA(経営学修士)も獲得した。 そして、退職するときにはおよそ12万ドル(約1800万円)の年収を稼いでいた。夫もだいたい同じぐらいだ。長い年月をかけて、夫妻は100万ドル(約1億5000万円)を超える純資産を築き、いつレイオフやそのほかの緊急事態が生じても大丈夫だと思えたので、サビーナ氏は仕事を離れることにした。 「私にとって、仕事がゴールではない。人々はキャリアを重視して、副社長になりたいとか、30人を従える管理職になる、などと考える」と彼女は言う。「私にとって、仕事は仕事でしかない。大切なのは友人、そして自分が本当にやりたいことをやる時間をもつことだ」 夫妻は今、ほぼ200万ドル(約3億円)に迫る純資産を有している。そこには、退職金口座の116万ドル(約1億7400万円)、税引き後の証券口座の46万ドル(約6900万円)、住宅資産の25万ドル(約3750万円)、医療貯蓄口座の3万ドル(約450万円)、529プランの2万5000ドル(約375万円)、そして2万5000ドルの貯金が含まれる。