3億円の資産でミニリタイヤした女性、経済的自立までの戦略を語る。──そして、なぜ彼女は職場復帰を望むのか?(海外)
経済的自立の発見
サビーナ・ホロックス氏の両親は1970年代に米国へやってきて、仕事を見つけるのにかなり苦労したそうだ。サビーナ氏はシカゴの郊外で下層中流階級の子として育った。食べ物には困らなかったが、質素な生活を送っていた。 大学での最初の2年は奨学金を得たが、コンピューターサイエンスや数学を専攻しなかったことを後悔している。最初に労働組合で仕事を得たが、賃金は少なかった。夫に若くして出会い、二人とも企業での職を得たことをきっかけに結婚した。 結婚直後、ある会社が夫妻に声をかけた。その会社は、二人の将来のために資産管理の手伝いをしたいと申し出た。夫妻は詐欺を疑ったが、その出来事をきっかけに、5年後、10年後の計画を立てるための方法について、いろいろと調べるようになった。その結果、一番の変化として、二人は収入から貯蓄に回す額を増やすようになった。 「それ以前、将来の経済目標のことなんて考えたことがなかった。私の実家では、特定の何かを買う余裕があるかどうかという話題以外で、誰も経済目標の話をしたことがなかったのだ」と彼女は言う。「私たちは常に節約を考え、両親はパンと卵で3ドル(約450円)を節約するために、週末に4件もスーパーマーケットをはしごするような人だったのだ」 たとえば、夫妻の最初の家は13万7000ドル(約2055万円)の1ベッドルーム・1バスルームのコンドミニアムで、同様の経済状況にある友人たちが買っていた家よりも明らかに小さかった。2000年代後半、郊外でもっと大きな家を半額で買えるのなら、都市部にあるコンドミニアムに35万ドル(約5250万円)を支払って、その後もたくさんの料金を支払い続ける理由なんてないと考えるようになった。 「夫と私はいつも協力し合い、結婚生活における金銭管理をビジネスのように捉えてきた。透明性と目標を共有し、ともに努力したのだ」とホロックス氏は言う。「収入も、私の、あなたの、ではなく、家庭の収入とみなした。“私のもの”を主張し、透明性もないような結婚が長続きするとは、私には思えない」 住宅バブルが崩壊したあと、夫妻の家は6万ドル(約900万円)の価値を失った。同じ建物から入居者が出て行き、差し押さえられた部屋もあった。夫妻も不安になったが、数年後にはそのコンドミニアムを貸し出し、代わりにタウンハウスを買った。