元宝塚雪組・和希そら 技術面も役作りも、とことん”突き詰める”役者を目指したい
◆男役、女役の意識の違いはなし「この人間をどう演じ表現するか」
――今回、男性キャストがいるお稽古場は初体験かと思います。 和希:1つの作品を作り上げるうえでキャスト側に男性がいることは初めてなので、そこはすごく新鮮だと思います。 ――赤いストライプのワンピースを着た和希さんのビジュアルが解禁された時は、かなりファンの皆さんがザワつきました(笑)。 和希:知り合いの方からもこのビジュアルが出た時に、「一瞬わからなかった!」と言われて、へーそうなんだって(笑)。 ――(笑)。ジュディのビジュアルでこだわった部分はありますか? 和希:作品の中で最初に見えてくるジュディの人物像としては、はっちゃけている人物ではないので、撮影時には、体の前で手を組んだおすまししている写真も結構多く撮りました。でも日本人の感覚よりも、海外の方はもう少しオープンマインドだと思うので、そこは意識しながら撮影しました。 ――『WEST SIDE STORY』のアニータ、『アナスタシア』のリリー、それに『ジュエル・ド・パリ!!』ではクレオパトラにも扮した和希さんですし、女性のビジュアルで映るご自分はすんなり受け入れられた感じでしたか? 和希:特に何も意識していないです。現役中から、この人間をどう演じるか、ショーの一場面でもこの場面でどういうふうに表現するかという姿勢だったので、そこにはあまり壁はないかもしれないです。心持ちとしては、どの役でも同じように挑戦していくという感覚でした。 ――男役出身のOGさんは、退団後スカートをはくのに抵抗が…という話も聞きます。 和希:何も考えてないですね。元々ファッションが好きで、ファッションの幅が広がった嬉しさもありますし、着たい服があるから着る、それがスカートだったっていうだけで、スカートっていうものが先には来ないです。 ――かっこよすぎます。
◆ターニングポイントになった『WEST SIDE STORY』
――昨年退団を発表された時は、突然のことにネットでは阿鼻叫喚の声があふれました。 和希:自分でも想像してなかったくらい、沢山のご連絡をいただいたり、思いを寄せてくださる方がいて、驚きました。 ――よく鐘が鳴ると聞きますが、和希さんの場合は…。 和希:生きていくうえでやりたいことが本当にたくさんあって。挑戦したいことや場所、見てみたい世界の広さなども様々で。決断しましたね。 ――退団後の5ヵ月間はどのような日々でしたか? 和希:日々を楽しみながら生きていました。やりたいことをいろいろやってて、レッスンももちろんそうですし、いままで挑戦してなかったことをしたり。 宝塚時代って、毎日が公演かお稽古かという日々だったのですが、それが私は好きでした。仕事で忙しくすることがすごく好きで、その代わりにお休みの時は何もしない(笑)。お休みにプライベートの予定を詰め込んで忙しくするのはあまり好きではないんですよね。 オンとオフはしっかり分かれているタイプです。 ――14年在団された宝塚時代、ターニングポイントになった作品を挙げるとするとどの作品でしょう? 和希:『WEST SIDE STORY』ですかね。実際に舞台に立ってお客様からの反響をダイレクトにいただいた感覚があって。自分を評価してもらえたというのをすごく実感できた作品だったんですよね。それによって自信もつきましたし、男役だけじゃなく女役も経験して幅も広がりましたし、お芝居の楽しさも知って、表現する楽しさもより知れた作品でした。 ――円盤化されなかったのが、本当に残念で仕方がないです。 和希:著作権が本当に厳しい作品だったので、限られた方にしかご覧いただけなかったのは残念でしたが、それだけ貴重な経験をしているんだなという実感もありましたね。