新型ホンダWR-Vの1番安いグレード、190万8000円の実力とは? もはやN-BOXより安いかもしれないコンパクトSUVに迫る
良心価格
試乗しながら、安いクルマにガマンして乗っている、という気持ちにはなっていないことに気づいた。パワートレインは活気にあふれているからパドルシフトでバンバン変速しながら乗るのも楽しいし、操縦性も素直だ。後席は広いうえにちゃんとエアコンの吹出口も備わっている。 このクルマに乗っていて感じるのは安いということではなく、足るを知るということだった。上を見ればきりがないけれど、『孤独のグルメ』の井之頭五郎だったら「ほー、いいじゃないか、こういうのでいいんだよ」と、言うだろう。 外観についてギヤっぽいと書いたけれど、乗ってみても道具っぽい実直さに好感を持つ。サーフィンや釣りなどの趣味や買い物に、がんがん使い倒すのが似合うクルマだ。あと、必要な機能をシンプルなパッケージにセンスよくまとめているあたり、無印良品がクルマを作ったらこんな感じかも、と、思った。 タイの拠点で開発してインドの工場で生産するホンダWR-V、つい値札に目が行ってしまう。けれども、ズルや手抜きをしてこの価格になっているわけではなく、ムダを省きつつ大事な機能はしっかり整えた、良心価格なのだ。
文・サトータケシ 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)