スペインとの差はどこにあったのか? 福西崇史が感じたU-23日本代表ベスト8敗退の要因「一つひとつの差は小さいけれど...」
守備に関しても結局は技術の差になってしまいますが、日本は積極的に前からプレッシャーに出てはいました。それでもスペインはそれをかわすだけの余裕があったし、日本はプレッシャーをかけているつもりでも寄せるスピードが遅かったり、角度が悪かったりとプレッシャーがかかっていない場面もありました。 前からプレッシャーに行く形を取るなら狙ったところで奪えなければいけないし、ひとつかわされてしまったらチームとしてのバランスは崩れてしまいます。その攻防で日本はハメ切ることができなかったし、詰まりそうならスペインは一つ飛ばして空いている選手にボールを送り、巧みにプレッシャーをかわしていました。 選手たちは大岩剛監督が用意したプランをある程度しっかりと実行していたと思いますが、その上でスペインが一枚上手だったと思います。 そうした攻守に質の差を感じましたが、前半のオフサイドで取り消された細谷のスーパーなゴールが認められていれば、後半のメンタル面は大きく違っていたと思います。1-1で後半を迎えれば選手たちは盛り上がって「後半絶対行けるぞ」となると思うし、そうなれば後半に感じる疲労感も違ったと思います。 あそこで「もう一回あのチャンスを作らなければ」というのは、周りが思っている以上にしんどいものがあります。それでも勝つためには、そのメンタル面の強さが求められるわけですが、自分たちよりも一枚上手の相手ですからそう簡単ではありません。そういった意味でもあのオフサイドの判定の影響は大きかったですね。 これから大事なのは戦った選手たちが、この差をどれだけ糧にして成長し、A代表へ定着していくか。また、今大会を見た次のロス五輪世代がこの差をどう埋めて、日本サッカーの発展にどう繋げていくかだと思います。 女子のなでしこジャパンについても軽く触れたいと思いますが、男子と同じく準々決勝でアメリカに敗れてベスト8で敗退となりました。 男子は技術に差を感じましたが、女子はMF長谷川唯を筆頭に技術では劣らないけれどフィジカル的なスピードや体格に差を感じました。そこをこれからどう埋めていくかが課題だと思います。 ただ、ブラジル戦でスーパーゴールを決めたMF谷川萌々子やDF古賀塔子のように、体格でも負けないような選手たちが出てきています。彼女らがこれから中心となって、ロス五輪ではなでしこジャパンをもうひとつ上のレベルへ引き上げていってくれることを期待したいと思います。 構成/篠 幸彦 撮影/鈴木大喜