スペインとの差はどこにあったのか? 福西崇史が感じたU-23日本代表ベスト8敗退の要因「一つひとつの差は小さいけれど...」
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。 そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる! 第104回のテーマは、パリ五輪の総括について。準々決勝でスペインに敗れベスト8敗退となったU-23日本代表。日本代表はなぜ敗れ、スペインとはどこに差があったのかを福西崇史が解説する。 * * * パリ五輪でグループリーグを首位通過し、スペインとの準々決勝に臨んだU-23日本代表でしたが、0-3で敗れてベスト8で敗退となりました。今大会のチームは予選も良い状態だったし、本大会でも尻上がりに良くなっていきました。 それだけにエジプトを軽視するわけではありませんが、準々決勝でスペインと当たってしまったのは少し残念だったと思います。ここを越えられればメダルが取れる力は十分にあったし、五輪という大舞台の試合をもう2つ経験することができました。なによりメダルをかけた非常に大きなプレッシャーのある試合を経験してもらいたかったなと思います。 スペインはやはり日本よりも一枚上手でした。ただ、0-3というスコアほどの差があったかと言われると、そうではなかったと思います。その中でも差を感じたのはスピード感と技術です。 直前のフランスとの強化試合でも体感したものですが、スペインのスピード感はA代表クラスでした。そのスピード感のなかでのボールコントロールやパス、シュートの質に大きな差を感じました。 例えばスペインのパスには一つひとつに意図を感じました。そのパスの質によって、受け手が体を回転できるかが変わるし、受けたあとどれだけスムーズにプレーできるかが変わってきます。日本よりもコントロールのミスも少なく、それもまたプレーのスピードの差を生んでいました。 1失点目のMF三戸舜介のコントロールが大きくなったボールを拾われ、フェルミン・ロペスにスーパーなミドルシュートを決められたのは、技術の質の差を象徴するようなシーンだったと思います。 後半に決められた2つのコーナーキックにしても、2点目の空いているペナルティーアークへ届けるボール、それをトラップしてから打ったシュートの質は非常に高かった。3点目もニアに蹴った鋭いボールを相手はずらして中で合わせるイメージだったと思いますが、ボールの質が高かったことで日本はうまく対応できずにアベル・ルイスに詰められてしまいました。ひとつひとつのちょっとした差が重なることで、大きな差になると改めて感じました。 前半の終盤あたりでは中盤でボールをキープして、三戸やMF山本理仁が相手の裏を取り"ポケット"と言われるゴールエリアの脇のスペースに侵入してチャンスを作ることができていたし、MF斉藤光毅がボールをキープしてDF大畑歩夢が上がってきたときにチャンスになっていました。それでも決め切れなかったのは、平たく言ってしまうと最後のところの質が足りなかったと思います。