【大川原化工機事件】女性検事は「起訴できない。不安になってきた。大丈夫か」 裁判所に提出された生々しすぎる「経産省メモ」の中身
「通常の判断能力がない」検察官
大川原化工機側が控訴した理由は「損害賠償金が安すぎる」こともあるが、法令の解釈に問題があったことを一審の東京地裁が認定していなかったことも大きい。警視庁公安部は噴霧乾燥機の輸出規制の解釈をねじ曲げた。控訴理由書は塚部検事について「公安部と経産省の打ち合わせ経過を容易に知り得た、あるいは起訴前に経産省が明確な解釈を有していなかったことを知っていたにもかかわらず、追加捜査をせず、漫然と起訴した」と批判した。 塚部検事はこんな経緯で起訴したにもかかわらず、昨年、証人席で被害者への謝罪を大川原化工機側の弁護士に問われると間違った判断ではなかったとして「謝罪はしません」と言い切ったのである。 生々しいメモが法廷に出され、「解釈論」でも大川原側が勝訴するか。6月から東京高裁で始まる控訴審が注目される。 粟野仁雄(あわの・まさお)ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「『サハリンに残されて」』(三一書房)、「『警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」』(ワック)、「『検察に、殺される」』(ベスト新書)、「『ルポ 原発難民」』(潮出版社)、「『アスベスト禍」』(集英社新書)など。 デイリー新潮編集部
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