「移民はペットを食べている」? 米大統領選討論会、両候補の発言ファクトチェック
ハリスの主張にも虚偽
米疾病対策センター(CDC)のデータに基づけば、米国では妊娠21週(約5カ月)以降の中絶は極めてまれで、中絶全体の1%に満たない。また、KFF(カイザー・ファミリー財団)によれば、妊娠21週以降の中絶のほとんどは24週(6カ月)までに処置を受けているという。 さらにトランプは、連邦最高裁で妊娠中絶の憲法上の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」が覆されたことについて「すべての法学者、すべての民主党員、すべての共和党員、リベラルと保守のすべてが望んでいた」ことだと主張した。これは誤りで、複数の法学者がロー対ウェイド判決を維持するため最高裁に働きかけているほか、世論調査では米国民の大多数が最高裁判断を支持していないことが示されている。 ■ハリスの主張にも虚偽の指摘 一方のハリスは、トランプが「大恐慌以来最悪の失業率を残した」と誤った主張をした。米国の失業率はトランプ政権下で新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まった直後、1930年代の世界恐慌以降で最悪の14.8%に上昇した。しかし、トランプの任期中に失業率は低下し、ジョー・バイデン大統領が就任した際には6.4%だった。 ハリスはまた、水圧破砕法を使ったシェールガス・石油の開発(フラッキング)について、自身の考えを「2020年に明言した」と述べたが、これは完全には正しくない。2020年大統領選の民主党予備選ではハリスはフラッキング禁止を支持しており、その後、副大統領候補討論会でマイク・ペンス前副大統領と対峙したときも「ジョー・バイデンはフラッキングを禁止しない」と述べただけで、自身のスタンスを明確にすることはなかった。しかし、ここ数カ月間はフラッキングに対する見解が変わったとして、もはや禁止を支持してはいないと語っている。 ■第2回討論会はあるのか 今回の討論会は、ハリスとトランプの間で今のところ予定されている唯一の討論会だった。ハリス陣営は2回目の直接対決を求めているが、トランプ陣営はまだ応じていない。 コメンテーターや専門家は、討論会の勝者はハリスだとの判断を示している。しかし、トランプは自身が立ち上げたソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、討論会のパフォーマンスについて「今までで最高のディベートだと思ったよ、特に『3対1』だったからね!」と投稿し、司会者2人がハリスの肩を持っていたと示唆。さらに、ハリス陣営が2回目の討論会を要求しているのは「彼女があまりにもひどく負けたからだ」「プロボクサーにも言えることだが、試合に負けるとすぐに次の試合を望むものだ」などと主張した。
Siladitya Ray