【解説】女性は男性の3/4…賃金格差どうなくす?銀行では“一般職=窓口業務の女性”の慣習が見直され――平等目指しプロジェクトチーム発足
庭野デスク 「いろいろ要因がありますが、まず1つ目は『同一労働同一賃金』が実現していないからなんです。そういうと、まず思い浮かぶのが非正規の人と正社員の人では同じ仕事をしていても賃金が違うという実態です。女性の場合は非正規労働が結構多いんですよね。なので結果として賃金が低いということが挙げられます」 「パートで働く女性などは夫の扶養の範囲内だと年金などの保険料を納めないで済むため、収入を抑える場合もあります。それから、若い女性などで本当は正社員になりたいんだけれども、非正規でやむを得ず働いているという方もいて、そういう場合は『女性の貧困』につながる心配もあるんです」
城間記者 「女性の就業率が出産期に下がる『M字カーブ』は解消されつつあるんですが、20代後半をピークに正規雇用率が低下する『L字カーブ』の問題が指摘されています。出産や育児で一旦キャリアを中断すると、なかなか正規雇用として復帰できないという女性の現状もあります」 庭野デスク 「もちろん、そういう非正規の人に女性が多いことは問題です。ただ、ノーベル経済学賞をとったゴールディング教授の分析では、正社員として働き続けている女性と男性を比べた場合でも、実は給与が違うという実態が明らかになってるんです」 「なぜかというと、長時間労働とか夜急に呼び出されるといったことに応じる場合の労働者の給与は、それができない労働者より高い傾向にあるんですね。つまり、男女であれば、男性の方がそういう長時間労働や呼び出しに応じるので給与が高くて、夫がいない分、妻の方が家庭を回すために給与の低い職業や職場に転職していく傾向があるんです」
城間記者 「最近は企業の男性の広報の方から『育休を取る』という話をよく聞くようになりました。男性の育休取得がもっと進むと男女の偏った役割分担が減るのかなと思います」 庭野デスク 「2つ目の要因としては、管理職の女性が少ないということがあります。日本は大学や専門学校などに進む女性が非常に多いことから、学歴の差はないんですね。しかし、なぜか女性がなかなか出世できない。“終身雇用”とか“年功序列”が日本の企業ではまだまだ根強いわけですから、女性が一旦育児のためにキャリアを外れると、管理職など給与が高いポジションに戻ることができにくいという現実があります」