「私の写真を見た父に『このおじさん誰?』と言われて」伊藤理佐の新作、キーワードは加齢&介護&韓国!
50代になると起き上がれない
――(編集者)私も30代になって、朝起きた時に疲れが取れてないなと感じることが増えました。 でも、ガバッと起きれるでしょ。50代になると起き上がれない。急に起きるとギックリ腰になるから、まずは足首を回して、横を向いてからそっと起き上がらないと無理なんですよ。 ――加齢マウント出ました(笑)。 加齢に関しては、みんな先輩風を吹かせたがるんですよね。こないだ年上のお姉様方からシンクロ――今はアーティスティックスイミングって言うんだよね――に誘われて、えー、足とか出せないから無理です! って言ったら、あなたまだ見られてるつもりなの? って言われた(笑)。 ――加齢の階段も奥深いですね。最近、女優さんやモデルさんが更年期を語るなど加齢に関する情報が増えて、正しく知れば怖いものではないと思えてきました。 まだまだ上があって、次は尿漏れらしいですよ。お姉様方は家見るだけで安心して漏れちゃうと言ってました(笑)。
父に「このおじさんはだれ?」と言われて
――『おんなの窓』は、そういう伊藤さんしか描かない「くだらないあるある」がたまらない。「おばさんがメンズサイズを着るとおじさんになる」現象とか、まさに! って。 50歳を超えると、男も女もだんだん性別を超えてくるんですよね。うちの父親も最近、おばあちゃんそっくりになってきてギョッとします(笑)。 ――物忘れやデジタルに弱いエピソードも、加齢なのか元々なのか際どいところがおもしろい。 元々その気はあるんですけど、世の中の流れが早すぎてヤバイですよね。 これは本でも描いたんですが、私の写真を見た父に「このおじさんはだれ?」と言われて。その時に父をボケたことにして私を立てるか、父を立てて私を知らないおじさん扱いするか、妹が必死に気を遣っていたのが腹立たしくて(笑)。父もたまにうちの猫をうちで飼ったこともない別の猫の名前で呼んだりしてるから、そろそろ怪しいかもしれない(笑)。 ――自分のことも心配だけど、それ以上に親も心配な年齢です。介護に関しては足を踏み入れた感じでしょうか。 そうですね。うちの両親はまだ自力で生活できてるけど、足腰が弱くなってきたので、三姉妹で分担して様子を見に帰ってます。田舎暮らしで車を返納しちゃったので買い物が大変なんですよ。自分で通販とかやらないので一緒に買い出しに行ったり、うちから送ったり。ゆるやかな介護ですね。