注文住宅を建てた人が「後悔したこと」とは? 不動産専門家が教える! 建てる前に知っておきたい「間取りの失敗ポイント」
多くの人にとって一生に一度の家づくり。絶対に失敗はしたくないですよね。ですが、実際に家づくりを経験した人たちのなかには「ああしておけばよかった」という後悔の声が多数あるのも事実。そこで今回は、株式会社LIFULL(ライフル)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」が、注文住宅を建てたことのある300名を対象に実施した「注文住宅で後悔した事例」についてのアンケート結果をチェック。失敗しがちな間取りのNGポイントと対策について、Webメディア「LIFULL HOME’S PRESS」の編集部員である楢﨑美香さんに解説していただきました。ぜひ家づくりの参考にしてください! 【保存版】一生に一度の家づくりだからこそ失敗したくない! 建てる前に知っておきたい「間取りの失敗ポイント」まとめはコチラ
家づくりで失敗したことランキング1位は間取りという結果に
――アンケート結果を見ると、1位:間取り、2位:収納、3位:動線、4位:設備、5位:費用に。家づくりで後悔したランキングは、間取りが1位なのですね。 楢﨑 そうですね。対象となった300名のうち、約半数の143名が間取りについて後悔しているという結果に。私は以前、リフォームの現場で働いていたことがあるのですが、「間取りに不満がある」という理由でリフォームされるかたはとても多かったので、この結果にも納得です。 ――なるほど。それでは、間取りで後悔しないために、どんな点に気をつけて家づくりを進めていけばいいか教えてください。 POINT1 家の広さを妥協しすぎない 予算を下げるために、「面積を減らせばいい」「家が狭くなってもいい」と考えるかたはとても多いです。ですが、住んでから自由に変えられるデザインや設備とは違い、家を広くすることはリフォームで簡単にできるわけではありません。 国交省「住生活基本計画における居住面積水準」によると、「最低居住面積水準(世帯人数に応じて、健康で文化的な住生活の基本として必要不可欠な住宅の面積に関する水準)」は、4人家族で50㎡となっています。 これは本当に最低の基準でゆったり暮らすには狭く、家族全員分の居室が持てなかったり、2階建て住宅にするには難しかったりする面積です。 より推奨されている「誘導居住面積(世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現の前提として、多様なライフスタイルを想定した場合に必要と考えられる住宅の面積に関する水準)」では、「一般型(郊外や都市部以外の戸建住宅居住を想定)」の場合、4人家族で125㎡、「都市居住型(都心とその周辺での共同住宅住居を想定)」の場合、4人家族で95㎡と規定されています。 家族がそれぞれの居室を持ち、なおかつ、ゆったりした玄関をつくるといったことが可能な広さです。 東京都23区内をはじめとした都心部では、70㎡の小ぶりな3階建て住宅など、比較的面積の小さな物件も多く見受けられます。 戸建で70㎡というと、居室を4.5畳にしたり、リビングをやや手狭にしたりとコンパクトな設計にならざるを得ません。 このような家では「広いリビングでくつろぎたい」「自分の部屋でゆっくり過ごしたい」といった理想的な暮らしができない場合もあります。 広さに妥協しすぎず、ゆとりを持った家づくりをしていただきたいです。 ただし、駅近の好立地を優先したいかたなどであれば、この限りではありません。ご自分の好みやライフスタイルに合わせて選んでください。 POINT2 多目的ルームや多用途に使える空間をつくる 部屋をひとつの役割だけのスペースにしてしまうと、5年後、10年後にライフスタイルが変わったとき、フレキシブルに使えなくなってしまいます。 そのためいろんな作業ができる多目的ルームを1部屋、備えておくことをおすすめします。 スタディルームやプレイルームにしたり、テレワーク用のスペースにしたり、アウトドア用品を置いておく趣味のスペースにしたりと、あまり作りこみすぎないフリーな空間にしておくのが大切です。 お子さんが小さいうちは遊びの場として使い、その後はふたつに区切って子ども部屋にするのもよいでしょう。 最初から小さく区切って使うのではなく、成長に合わせて使いかたを変えていけばいいと思います。 POINT3 あらかじめ部屋を分けられるようにしておく 間取りの失敗談としてよくあるのが「子どもが増えたため子ども部屋が足りない」「部屋を間仕切れるようにしておけばよかった」「部屋の数を変えられるようにしておけばよかった」というものです。 リフォーム希望のかたからの相談でも多いのですが、広い部屋であっても元から設計されていないと、じつは2部屋にすることはとても難しいのです。 居室とするなら2部屋分の窓を確保する必要がありますし、新たな壁を造作するための下地も必要となります。 エアコンのダクト穴や室外機の置き場所などについても、はじめから想定しておかないと、のちのち頭を悩ませる原因になりかねません。 また、片方の部屋にはクローゼットがあるのにもう片方にはないということになったり、照明やコンセントの数が足りない場合は、壁や天井のクロスをはがして増設しなければならなくなったりします。 新築時に設計して工事をしておけば、後からリフォームするよりも費用が抑えられるため、ライフスタイルの変化が必要な部屋の数が変わることを考慮して、事前に準備しておくとスムーズです。 注文住宅は暮らしながら、少しずつ手を加えて「つくっていく」のが楽しみでもあります。将来のことを考えて、間取りもフレキシブルに変えられるようにしておくことをおすすめします。
<教えてくれた人> 楢﨑美香(ならさき・みか)さん 株式会社LIFULL「LIFULL HOME'S PRESS」編集部。二級建築士、宅地建物取引士。早稲田大学卒業後、住宅リノベーション会社を経て、2018年に株式会社LIFULL入社。大小さまざまな500件以上の住宅リフォームの経験を生かし、あらゆる人が公平・満足・快適な住まい選びができるよう、「LIFULL HOME'S PRESS」「LIFE LIST」などの住宅不動産メディア運営に携わる。多くの人に情報を届けるため、記事企画、取材、執筆に日々奔走する。 取材、文・髙倉ゆこ ©rezor/Adobe Stock/Adobe Stock
取材、文・髙倉ゆこ