「まるでボーイズラブ?」役職停止の玉木雄一郎代表、榛葉賀津也幹事長とは“政界屈指のニコイチ”
玉木氏の不倫発覚から4日にして、APEC首脳会議での石破茂総理の外交マナーが物議をかもしました。その2日後には兵庫県知事選で、まさかの斎藤元彦知事の大逆転劇、美酒を呑んでいる間に折田楓氏の選挙違反疑惑が勃発。いずれも外目にも大変に分かりやすいミスで、国民の印象も濃かった。にも関わらず出番であった立憲民主党は主役を張れておらず、日本維新の会は代表交替で身動き取れず。 政治には「天の時」も大事な要素ですが、まさに神風が2回も吹いた状況になりました。「下半身の問題も良くないが、他と比べてどうか」という空気感に変わっていきました。 ネット世論調査のパイオニアであるJX通信社・米重克洋代表取締役が、選挙ドットコムちゃんねるで意識調査結果を公開しました。玉木氏の不倫問題を踏まえて、【1】個人的な問題より政策実現が重要だ 【2】政策実現より個人的な問題のほうが重大だ 【3】わからない、答えないという3つの回答を用意しましたが、電話、ネット調査いずれでも【1】は5割越えで【2】にダブルスコア以上をつける結果となりました。 「国民民主党の支持層が増えたが、それでも圧倒的に20~40代の男性が多い。その男性がこういった問題にやや寛容である」としています。こちらの動画で米重氏の対談相手を務めたスピーチライター株式会社カエカ千葉佳織代表は「クリーンを標榜する公明党だったら、別の結果だったかも」としています。
軽い処分は党内事情と世論の合作
それでは国民民主党は、どうして3か月の役職停止という軽めの判断を下したのでしょうか。
同党では、党員は「政治倫理に反し、または党の品位を汚す行為、言動」を倫理規範に反し、行ってはならないとしています。(倫理規則第2条1の一)違反があったら、榛葉賀津也幹事長は以下の5つの処分から選べます。(同規則第4条1)一、幹事長名による注意 二、総務会名による厳重注意 三、党の役職の一定期間内の停止または解任 四、党公認または推薦等の取り消し(衆議院議員選挙または参議院議員選挙の比例名簿からの登録抹消を含む) 五、公職の辞任勧告。 一、二では単に注意するだけで何の足しにもならない。四、五では玉木代表を追放するのと同じこと、党の根底を揺るがす事態になります。はなから三ありきだった訳です。 さらに、「総務会は、党員の倫理規範に反する行為・言動が、党の綱領基本理念、規約等に反し、本党の運営に著しい悪影響をおよぼすと判断した場合、幹事長の発議に基づき、以下の各号に掲げる処分を行うことができる」としており、一、党員資格停止 二、離党勧告 三、除籍が挙げられています。 不倫問題が党運営に著しい影響を及ぼすどころか、本当に玉木代表を失ってしまったら党運営どころか党の存亡に関わってきます。榛葉幹事長は、処分明けの3月4日に玉木代表の復帰を示唆しています。玉木代表も会見で、その時も党の判断に従うと述べています。 他党では役職停止処分は1か月、3か月、半年、1年など様々です。自民党の党紀委員会は、政治資金パーティー不記載問題で、不記載額が5年間で2000万円以上なら1年の役職停止、1000~2000万円なら半年間の役職停止、500~1000万円の議員に戒告の処分を下すも、甘いと世の指弾を浴びました。 自民党において、3か月以上の党の役職停止は、8段階の処分で軽い方から3番目であり、戒告(厳重注意に近い)より厳しい程度です。 かようによく出る「役職停止」処分ですが、今回の玉木氏のケースで6か月の期間にしてしまうと、来年7月の参院選前まで人気者玉木代表のポスターも使えず、甚大な影響が生じるでしょう。 党内事情でおそるおそる役職停止3か月の落とし所を考えていたところ、ライバルたちの失策が「渡りに船」となったわけです。