『オクラ』『全領域異常解決室』『潜入兄妹』 2024年刑事ドラマの“ベストバディ”は?
今までも多くの刑事ドラマでバディの絆が描かれてきたが、2024年も数々のバディが誕生した。予測不能な展開で視聴者をいい意味で裏切りまくっている『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(フジテレビ系)もそのうちの一つだ。 【写真】藤原竜也×広瀬アリスの“神”コンビ ●『オクラ~迷宮入り事件捜査~』 お蔵入り事件を捜査する“オクラ”に所属する千寿(反町隆史)と利己(杉野遥亮)は、事件を追ううちに10年前に起きた警察官連続殺人事件の犯人にたどり着いた。その犯人が今まで仲間だと思っていた科捜研の愁(観月ありさ)だったという驚きの展開に加えて、捜査一課課長の英雄(中村俊介)を殺した人物が“オクラ”の中にいることがわかり、犯人探しが始まった。仲間を疑うのだ。辛いことだが、利己が中心となって一人ひとりを取り調べをしていく。そんな中で一人、千寿の目に生気が宿っていないことが気になった。 そして第10話の最後、千寿は利己と対峙し、自分が首都爆破テロを防ぐために首謀者だった英雄を殺したことを認め、利己に銃を突きつけた。仲良し、とまではいかないが、心許せるバディの強い関係性が崩壊した瞬間だ。千寿が犯人だと知った利己が見せた大粒の涙には、今まで築き上げてきた信頼と絆が垣間見えた。 ●『全領域異常解決室』 同じく10月期のドラマ『全領域異常解決室』(フジテレビ系)の雅(藤原竜也)と小夢(広瀬アリス)は凸凹コンビだが、2人の関係が物語にドラマティックな深みを与えている。全領域異常解決室に出入りするのは何百年もの間、日常に溶け込んできた八百万の神たち。興玉神である雅と天宇受売命である小夢は生まれ変わっては再会し、人間を見守ってきた。しかし、世の中を一新したい謎の神“ヒルコ”が出現し、小夢は記憶を失ってしまう。それでも雅とのバランスの取れた掛け合いは健在だ。生まれ変わるたびに交通安全の神・猿田毘古神(迫田孝也)と結婚する小夢だが、雅とはもっと深い部分で繋がっているようにも見える。神たちはヒルコに追い詰められ、世間でも死亡者が続出している最悪な事態の中、2人はどう挽回していくのか、最後まで見届けたい。 ●『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』 また、竜星涼と八木莉可子が兄妹として犯罪組織に潜入し、刑事だった父親の仇をとろうとする『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』(日本テレビ系)でも“兄妹バディ”らしい強固な繋がりが描かれている。元警察官の兄とホワイトハッカーの妹が知恵を絞って、次々と犯罪組織の幹部から命じられる試練を乗り越えて信頼を得ていくのだが、我々視聴者はそんな彼らの作戦に騙されることになる。毎回どんでん返しのような展開が待っていて、兄妹ならではの阿吽の呼吸もあり、テンポ感良くハラハラした感覚を味わうことができた。