次世代の「食品物流」、QRコード不要AGVから惣菜ロボまで…スタートアップ事例
「搬送業務」の自動化を現場改善の最初のトリガーに
続いて会員会社2社が事例を発表した。LexxPluss 代表取締役 CEOの阿蘓 将也氏は、同社の自動けん引技術「LexxTug」を中心に紹介した。LexxTugは、現場で広く用いられているかご台車や、「カートラック」と呼ばれる6輪台車を無改造で自動搬送するための技術だ。 同社の自動搬送ロボットと組み合わせることで最大500kgまで簡単にけん引できるようになる。走行速度は最大3.5kg。複数台を導入する場合は、同社のフリート制御システムを使う。 同社は2020年創業。従業員数は55名。ハードウェアからソフトウェアまで内製しており、搬送ロボット、群管理システム、周辺機器や設備とのハブとなるIoTデバイスなどを開発、販売している。ソフトウェアにも力を入れており、運用をクラウド上でシミュレーションして確認できる。同社の製品は搬送を主軸に、各種工場や倉庫などで活用されている。 食品倉庫に限らず、台車は幅広く使われている道具だ。人が何かを運ぶ作業では、ほぼ必ず使われていると言っても良い。だがそれは同時に、人に多くの負担がかかっているということでもある。ひたすら歩かなければならないだけではなく、搬送中の転倒の事故も多く、労働災害リスクもある。そこで搬送を自動化するロボット機器が以前から用いられているAGVや、最近台頭してきたAMRだ。 ただ、台車搬送の自動化には意外と手間がかかる。結局、人が搬送を担っている現場が少なくない。阿蘓氏はそのような現場でも簡単に搬送を自動化できるソリューションが「LexxTug」だと紹介した。台車を所定の場所に置くと、ロボットが自動で連結してけん引する。現場を大きく変更する必要がなく、従来の搬送業務と相性がいいのも売りの1つだ。 LexxTug - Automate Cart Tugging Operation 「LexxTug」ではかご台車とロボットはそれぞれ独立しているので、狭い通路でも小回りが利くように動けるという。ロボットの回転半径は38cm。2024年からリリースしており、物流センターなどで活用されている。たとえば山善の倉庫では、2桁台の数が導入されているという。かご車ごとのカスタマイズにも対応する。 多くの自動化ソリューションが存在するものの、小売や卸の現場では諸般の事情により、まだまだ自動化が進んでいないのが実状だ。現場では人が日々、働いている。業務も、人手や歩行を前提として動線が考えられている。 阿蘓氏は、搬送を自動化することで次のようなことが可能になると語った。 ・工程を平準化・標準化 自動化を最初のトリガーとして現場を改善していくこと APIを使った上位システムとの連携 自動化のさらなる推進を進めること 検証をソフトウェア上で行い机上で検討すること