松本人志インタビュー、2つの大問題。“反省”は期待できない“松本思考”とは
文春が提出した証拠約20点のショッキングな中身
裁判取り下げ時に、鹿島氏はスポーツ新聞各紙の「記者の目」を読み比べて、気になったポイントを『半信半疑のリテラシー』の未収録原稿に書いている。 日刊スポーツは、こう記していたという。 《文春側は第2回弁論準備へ向けて約20項目の証拠を提出していた。女性への取材内容や松本らとのやりとり、酒席にいた放送作家への取材データなど多様で、ここまでの報道にあまり出ていなかった同席タレントについてなども触れられていた。 裁判が進めば当時の出来事がさらにつまびらかになり、『FRIDAY』の関連記事で訴訟を起こした渡邊センスや松本と同じく活動休止したスピードワゴン小沢一敬ら以外にも影響が及ぶ可能性は高かった。》(日刊スポーツ、11月9日) この証拠が明らかにされる前に、松本側が裁判を取り下げた、というニュアンスで同紙は報じていた。
「松ちゃん勝利」と誤解される報道も
また、スポーツ報知には疑問を感じたと、鹿島氏は指摘する。 「かなり疑問に思ったのがスポーツ報知の一面見出しだ。『文春と電撃終戦 松本人志』として、その横に『強制性の有無を直接に示す物的証拠はないこと等を含めて確認いたしました』という松本氏側のコメントを大きく載せていたのだ。 そして端っこのほうに、『心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます』という女性たちへのコメントを小さめに載せていた。 これ、順番と大きさが逆でしょう? 松本側が謝罪をしたという事実が大きいと思うのだが、『強制性の有無を直接に示す物的証拠はないこと等を含めて確認いたしました』をデカく載せると、まるで松本側の勝利宣言に見えてしまう人もいるのでは?」(『半信半疑のリテラシー』未収録原稿より) 松本人志の活動再開をファンが喜ぶ気持ちはわかる。ただ一方で、今回のインタビューを含めた報道を、冷静に読み解くことも必要ではないだろうか。
復帰に期待するのは時期尚早
また、松本人志が「独自プラットフォームで活動再開する」と宣言したことに注目が集まったが、これについても鹿島氏は2024年1月29日配信のメルマガ時点ですでに、疑惑の解明前に松本の「復帰」や「将来」について期待することへの危惧を表明していた。 「当初私はテレビからは撤退しても吉本の劇場に戻ればよいのでは?と考えていた。劇場から配信してチケットを売れば買いたい人だけが視聴できる。そのシステムが定着すればむしろテレビに引導を渡してしまうきっかけにもなるのでは?と。 でもすいません、そのあとちゃんと考えて『今は言うことではない』と考え直しました。 この手の『将来の話』は、現在問題となっている性加害疑惑の本質を置き去りにしていると思われても仕方ないからです。やはり問題がきちんと解決されない限り、エンタメの今後などを適当な気分で考えてはいけないと思うようになった。(中略) そもそも、あれだけよく見ていた番組も、最近はVTRで出てくる松ちゃんを正視できなくなってしまった自分に気づいた。なら、女性はなおさらだと思う。もっともっと深く現状(ずさんに放たれる乱暴な擁護も含めて)を正視しなければならないと気づいたのです」(「プチ鹿島メルマガ」2024年1月29日号より)
本当に理不尽な目にあったのは誰なのか
鹿島氏は『半信半疑のリテラシー』の中で、こうも述べている。 「私は『なぜニュースを見るのか』という理由は、『理不尽な目にあっている人』『困っている人』を知ることだと思うようになりました」 今回の性加害報道で本当に理不尽な目にあったのは誰なのか。ニュースや報道の受け取り手である我々のリテラシーも問われているのではないだろうか。 <文/日刊SPA!取材班>
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