「106万円の壁」撤廃はメリットだらけ…手取りも年金も増える「新ルール」で得する人、損する人
■老後資金のため、壁を乗り越えるチャンス それならば、従業員51名以上の事業所に勤務する人は年収125万円以上を目指し、50名以下であれば、週30時間以上働いて社会保険に加入し、130万円の壁を超えても手取りが減らない152万円を目指すほうが効率的です。 年金収入には公的年金等控除が適用になります。現在、65歳以上の人は158万円(基礎控除48万円+公的年金等控除110万円)まで所得税がかかりません(※10)。もし、基礎控除が引き上げになれば、さらに課税ラインは引き上げられます。目先の壁にこだわっていると、せっかくの控除枠を目いっぱい使うことができません。 近年は最低賃金が上昇し、賃金が上がらなかった時代と違って、収入アップへのハードルは下がっています。「もっと働きたい」との声も多く、壁を乗り越えるチャンスと捉えることもできます。 年金額は加入期間がモノを言います。年金受給開始が目前に迫って気が付いても、過ぎた年月は戻ってきません。子どもの手が離れた40歳代からでも20年くらいの加入期間は稼げます。賃金アップと社会保険適用拡大の波にいち早く乗りましょう。 ※10 公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1000万円以下の場合 ---------- 内藤 眞弓(ないとう・まゆみ) ファイナンシャルプランナー 1956年香川県生まれ。大手生命保険会社勤務の後、ファイナンシャルプランナー(FP)として独立。1996年から約5年間、公的機関において一般生活者対象のマネー相談を担当。現在は、金融機関に属さない独立系FP会社である生活設計塾クルーの創立メンバーとして、一人一人の暮らしに根差したマネープラン、保障設計等の相談業務に携わる。共働き夫婦からの相談も多く、個々の家庭の考え方や事情に合わせた親身な家計アドバイスが好評。著書に『医療保険は入ってはいけない!』(ダイヤモンド社)など。講演・セミナー等の講師としても活動。 ----------
ファイナンシャルプランナー 内藤 眞弓