石破首相を衆院が30年ぶりの決選投票で再指名-少数与党で前途多難
(ブルームバーグ): 11日召集の特別国会では、与党が過半数割れしている衆院で30年ぶりの決選投票が行われ、石破茂首相が再び指名された。首相にとって少数与党の前途多難な再出発となる。
1回目の投票では石破首相(自民党総裁)がトップになったが過半数に届かず、2位だった立憲民主党の野田佳彦代表との決選投票が行われた。石破首相が221票を獲得し、野田代表の160票を上回った。無効票が84票あった。
先の衆院選で与党は過半数を確保できず、法案や予算案の成立には一部野党の賛成が不可欠となった。当面、衆院選で躍進した国民民主党と政策協議を進め、国会運営での協力を求める構えだ。同党は所得税が発生する「年収の壁」の103万円から178万円への引き上げを求めているが、税収の大幅減につながりかねず、年末の税制改正で妥協点を探れるかが最大の焦点だ。
石破首相は同日午前、今後の国会運営について「野党の意見を誠実に謙虚に承りながら、国民に見える形であらゆることの決定をしていきたい」と記者団に語った。
9日には公明党の斉藤鉄夫代表と党首会談を行い、連立政権で引き続き一致結束して政策の推進に当たる方針を確認。10日は日本維新の会の馬場伸幸代表、11日は国民民主党の玉木雄一郎代表、立民の野田氏と個別に会談した。
国民の玉木氏は、石破首相との会談で、所得税の基礎控除拡大やガソリン減税に加え、サイバー攻撃に先手を打って被害を防ぐ「能動的サイバー防御法案」の臨時国会での成立を求めた上で、国益の観点から連携を図る姿勢を示した。会談後、記者団に語った。
ただ、玉木氏は写真週刊誌「FLASH」のウェブサイトで不倫疑惑が11日報じられ、緊急記者会見で謝罪するなど対応に追われた。同党は昼の両院議員総会で玉木氏の続投と首相指名選挙で同氏の名前を記入する方針を確認。榛葉賀津也幹事長は総会後、「玉木なくしてこの党はなかった」と述べ、最終的には全会一致で玉木氏に党を委ねたいということになったと記者団に説明した。