石破首相を衆院が30年ぶりの決選投票で再指名-少数与党で前途多難
明治安田総合研究所の小玉祐一フェローチーフエコノミストは、玉木氏を巡る問題を受け、与党との政策協議では強気の交渉姿勢が鈍る可能性もあると指摘した。世論の反応次第で玉木氏の党内での立場が弱くなるかもしれないとし、不確定要素が増えたとの見方も示した。
第2次石破内閣発足へ
石破首相は再指名を受け、第2次内閣を11日中に発足させる。大半の閣僚を再任し、衆院選で落選した牧原秀樹法相、小里泰弘農相の後任にそれぞれ鈴木馨祐元外務副大臣、江藤拓元農相を起用する。公明の斉藤代表が務めてきた国土交通相の後任には同党の中野洋昌衆院議員を充てる。林芳正官房長官が同日夕、閣僚名簿を発表した。
特別国会の会期は14日までの4日間。石破首相が今週後半から来週にかけ、ペルーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)、ブラジルでの20カ国・地域(G20)の首脳会議に出席する方向で、外交を本格始動させる。
当面は「米国第一主義」を掲げ、来年1月に政権に返り咲くトランプ次期大統領への対応が急務となる。石破首相は早期に直接会談し、信頼関係を構築したい考えだが、政権発足後は米側が在日米軍駐留経費などで日本側に負担増を求める可能性がある。輸入品への関税引き上げを検討している次期政権の通商政策への対応も迫られそうだ。
首相はG20などに合わせて米国を訪れ、同氏と会談する案も含め検討を進める方針とNHKが報じている。
JNNが2、3両日に行った世論調査によると、石破内閣の支持率は38.9%、不支持率は57.3%と不支持が支持を上回った。衆院選大敗を受け、自民党内には執行部への不満がくすぶっており、支持率がさらに低下すれば「石破おろし」に発展しかねない。来年夏には参院選や東京都議選が控えており、綱渡りの政権運営が続きそうだ。
--取材協力:野原良明.
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Akemi Terukina