スプリンターズS、ハイレベル必至な一戦でネガティブ要素ばかりの実力馬が妙に気になる
この2年間、スプリント戦線では常に中心的な存在でありながら、GIは未勝利。大一番では勝ちきれない印象が強くなっています。しかも今回は、前哨戦で振るわなかったうえ、主戦の浜中俊騎手が騎乗停止になって乗れない、という不運まで重なってしまいました。現状、ネガティブな要素ばかりです。 しかし、この馬にはまだまだ期待が持てます。というのも、春、秋で異なるGIの馬場条件にも対応し、それぞれの舞台で常に上位争いを演じてきているからです。そこに、この馬のスプリント適性の高さが示されています。 過去2年のスプリンターズS(2022年5着、2023年3着)でも、乗り方が違っていれば、もっと上位を狙えたのではないか、と感じています。前走のGIIIキーンランドC(8月25日/札幌・芝1200m)も5着に終わりましたが、スムーズに抜け出せず、内ラチに接触するシーンが見られました。前哨戦として割りきれば、巻き返しは可能でしょう。 そして今回、鞍上を務めるのは横山武史騎手。彼は、中山・芝1200mでの経験が豊富で、実績もあります。現にここ5年間では、同条件で最も多くの勝利を挙げている騎手です。乗り替わりは、決してマイナスにはならないと思います。 また、横山武騎手にとっては、一発勝負の"代打騎乗"。勝てなくても失うものはなく、思いきって勝ちにいく騎乗ができるはず。ナムラクレアのポテンシャルを100%引き出すことができれば、過去の着順を上回る結果を出せると踏んでいます。 よって、今回のスプリンターズSでは、ナムラクレアを「ヒモ穴馬」に指名したいと思います。
武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku