70歳の母のもとに、「新札発行に伴い旧札が使えなくなるので交換に伺います」と電話がありました。これって「詐欺」ですか? 旧札は引き続き使えますよね…?
2024年7月3日から、新しい1万円札、5000円札、1000円札が発行されました。紙幣はおよそ20年ごとにデザイン変更されており、その時々で誰が新札の肖像になるのかを巡って話題になることが多く、興味を持って待っていたという人も多いのではないでしょうか。一方で、世の中で話題になればなるほどに注意したいのが、新札発行にあわせた詐欺です。 本記事では新札の特徴と、新札発行にともなって発生が予想される詐欺の手口について解説します。 ▼実家の物置で「鳳凰」の描かれた100円玉を発見! 昔のお金は今も使える? 高く売れる場合もあるの?
2024年7月3日から新札が発行
新しいお札の肖像になった3名は、新たな産業の育成、女性の活躍、科学の発展という点で日本の近代化に大きく貢献した人物です。1万円札は渋沢栄一、5000円札は津田梅子、1000円札は北里柴三郎となっています。 新札発行の目的は、偽造対策の強化とユニバーサルデザインの向上の2点です。偽造対策では、「すかし」と「ホログラム」加工が強化され、より偽造されにくい仕様となっています。 ユニバーサルデザインの向上の一例としては、額面の「10000」や「5000」といったアラビア数字が、表面で2倍から3倍、裏面では5倍ほど大きくなり、より見やすいデザインになりました。
新札が発行されても旧札は使用できる
新札が発行された後に、現在手元にあるお札(旧札)を使用できるか心配な人もいるかもしれませんが、旧札は引き続き使用できます。 一部の自動販売機などで新札対応が間に合わず使えない場面を経験されることもあるかもしれませんが、あくまでも新札を発行して間もない頃の一時的なトラブルです。お札自体の価値がなくなった訳ではありませんので、正しく理解しておきましょう。
新札発行のタイミングで増える詐欺に注意
新札が発行された後に、現在手元にあるお札(旧札)はこれからも使用できるか心配な人もいるかもしれませんが、旧札は引き続き使用できます。しかし、使用できなくなるとうその情報を伝えて、巧みにお金をだまし取ろうとする詐欺に注意が必要です。一般社団法人詐欺防止ネットワークによると、次のような手口が想定されています。 ■紙幣の回収を語る詐欺 「7月からの新紙幣発行に伴い、現行の紙幣は使えなくなります」 「順次、古い紙幣は回収して新紙幣へ交換を行います」 「自宅で保管されている紙幣については、金融庁の職員が巡回して回収の上、口座へ新紙幣を振り込みます」 こうした電話がかかってきたり、実際に訪問されたりするケースです。このような新札に関わる詐欺の場合、「全国銀行協会」と名乗るケースが多いようです。全国銀行協会は実在しますが、一般の預金者に電話をしたり、訪問したりといった業務は行っていないので、詐欺を疑いましょう。 ■キャッシュカードをだまし取る詐欺 「新紙幣発行にともない、銀行法が改正されるので、キャッシュカードも不正操作防止用のカードに変更する必要があります」 「全国銀行協会の者が巡回訪問して古いキャッシュカードを回収します」 新札の発行とは無関係のように感じますが、このようなキャッシュカードをだまし取ろうとする詐欺も想定しておくことが必要です。 ■振り込め詐欺 「7月からの新紙幣発行に伴い、20年以上経過した古い口座は新しいセキュリティシステムに対応した新口座へ移行する必要があります」 「安全のために金融庁の口座へいったんお金を移して新口座を開設した後、新紙幣が金融庁から入金されます」 こちらも新札の発行は無関係に思えますが、もっともらしい理由をつけて、別口座にお金を振り込ませる振り込め詐欺の一種ですので注意が必要です。
新札発行を理由とした詐欺に注意しましょう
約20年ぶりに新札が発行されましたが、新札が発行されても旧札が使えなくなることはありません。新札発行という話題にあわせて、紙幣やキャッシュカード、口座などをだまし取ろうとする詐欺の発生が予想されています。正しい知識を身につけて、だまされないように注意しましょう。 出典 政府広報オンライン 2024年7月3日、新しいお札が発行! 一般社団法人詐欺防止ネットワーク 新札(日本銀行券)発行『現行紙幣を回収』は嘘! 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部