亡くなったさくらももこさん 地元・静岡へ「最後の贈り物」
「ちびまる子ちゃん」の作者で漫画家のさくらももこさんが亡くなった。自身が生まれ育ち、「ちびまる子ちゃん」の舞台になっている静岡をこよなく愛したさくらさん。近年は静岡市のプロモーション活動にも積極的に取り組み、8月には、ちびまる子ちゃんを描いた2つのマンホールの蓋を静岡市に寄贈したばかりだった。
富士山をバックにちびまる子ちゃんを描いたマンホールの蓋。赤い帽子バージョンと黄色い帽子バージョンの蓋がそれぞれ一つずつ計2つが静岡市に寄贈された。市によると、寄贈はさくらさん側から申し入れがあったという。デザイン化が流行りにもなっているマンホールの蓋。人気作品をデザインしたマンホールの蓋はほかでも見られるが、作家側が発案し、デザイン化して自治体に寄贈するケースはあまり聞かない。市によるとさくらさんは寄贈にあたりこんなコメントを寄せたという。 「マンホールの蓋に色んなデザインがある事を知り、静岡にまる子のマンホールがあれば可愛いなと思い、静岡市さんにご相談させて頂きました。今回、『お茶、富士山、駿河湾』をコンセプトに、2つのマンホールが出来ました。静岡市で長く使用して頂けると嬉しいです。そして、静岡市民の皆さんには、いつもあたたかいご声援をいただき、本当にありがとうございます! まる子デザインのマンホールの蓋も、みなさんに喜んで頂けると嬉しいです」
静岡市によると、市とさくらさんとは、2007年に静岡市が都市問題をテーマにした会議を開催した際、静岡市をPRするイラストをさくらさんに相談したことから交流が始まったという。以降、静岡市のシティプロモーションにさくらさんのイラストが使われるようになり、さくらさんも熱心に静岡市のシティプロモーションに取り組んだ。 イラストは、来客者などへの贈答品として市がつくったメモ帳やボールペン、クリアファイルから職員用の名刺まで様々なシーンで使われ、種類も増えて現在は20種類もある。シティプロモーション用のイラストに描かれている少女は、ちびまる子ちゃんに似ているが実はさくらさん本人の自画像とのこと。アジアをはじめ海外でも人気のちびまる子ちゃんだけに、ちびまる子ちゃんを思わせるイラストは多くの人たちの興味をひき、静岡のイメージアップに大いに貢献してきた。
さくらももこさん逝去の報道を受けて、静岡市庁舎や清水港のエスパルスドリームプラザ内にある、ファンの聖地とされる「ちびまる子ちゃんランド」には献花台や記帳台が設けられ、訪れた多くの人たちがさくらさんの冥福を祈った。 25歳の女性は「母親がもっていたマンガの中にちびまる子ちゃんがあって、それがきっかけでファンになりました。さくらさんを尊敬していたので、亡くなったのはとてもショックです」と話していた。 静岡市では、さくらさんから寄贈されたちびまる子ちゃんを描いたマンホールの蓋を、近くJR静岡駅近くの繁華街とJR清水駅西口のマンホールに設置して、さくらさんの思いを市民やファンに届ける予定だ。