ふるさと納税「ネットショッピング感覚」に疑問感じ…訪れた先で寄付し返礼受ける「店舗型」じわり広がる
好きな地域や応援したい自治体を訪れた時に、現地の商店や飲食店などでふるさと納税ができれば――。寄付者がその場で返礼品の商品を受け取ったり、サービスを利用したりすることができるシステムを開発した。「納税を通して『ふるさと』と思える場所が増えたらきっと楽しい」。システム名の「ふるさとズ」にはそんな思いを込めた。
全国40自治体で導入
21年11月に初の導入自治体となった茨城県つくばみらい市は、市内のゴルフ場の利用料を返礼品にしたところ、5か月で約5000万円の寄付が集まった。受付でチラシのQRコードを読み込んで寄付すると、その場でプレーが楽しめる。
自治体はQRコードを設置するだけで初期投資は少なく、配送料も不要だ。寄付者が自分の目で見て返礼品を選ぶため、品物を巡るトラブルになりにくいのもメリットという。
導入自治体は全国に広がっている。昨年12月末時点で、久留米市や広川町など福岡県内5市町のほか、京都府京丹波町、神奈川県茅ヶ崎市など全国約40自治体の約300店舗・施設に及ぶ。同じ店舗や施設で再び寄付するリピーターは2割強に上っている。
返礼品は、キャンプ場の宿泊利用料や観光クルージング、イチゴ狩り、道の駅の商品券、オーダーメイドスーツの仕立て代など多岐にわたる。23年6月に導入した熊本県阿蘇市は、乗馬体験や阿蘇山を一望できる「草千里展望所」のガイド付きツアーなどを返礼品にした。市の担当者は「寄付者が来てくれれば、地域を知ってもらえる。ふるさと納税に関われる事業者の幅も広がった」と話す。
「モノだけでなく、様々な体験を提供できるのが強み」と宇佐川社長。「各地のファンになる人を増やし、地方の活性化を後押ししたい」と意気込んでいる。
「ふるさとズ」からのふるさと納税は、ウェブサイト(furusatos.com)でも受け付けている。