ヨハネ・パウロ2世が「聖人」に 認定されるための要件とは?
2代前のローマ法王、ヨハネ・パウロ2世(在位1978~2005年)が4月27日、カトリック教会で最高の崇敬とされる「聖人」に認められます。在位中の27年間、非常に人気が高かった同氏には、以前から早期の列聖(聖人として公式に認めること)を求める声が多くありました。死後9年で聖人になるのは、異例の早さです。 しかし、日本人にとって聖人とはあまり馴染みのない言葉かもしれません。聖人になるには、どういう要件が必要なのでしょうか。
聖人になるには2つの「奇跡」が必要
そもそも聖人とは、生存中にキリストの模範に忠実に従い、その教えを完全に実行した人物のこと。聖人を認める行為は3~4世紀が起源とされており、キリスト教徒が創始者たちを崇拝し始めたころと重なります。 聖人の認定は、まずは審査から。その人物の生涯をついて記した書類が集められ、専門家たちが聖人にふさわしい人物か審査、判断します。それを通過すれば、聖人の前段階に当たる「福者」に認定されるのですが、それには「奇跡」が必須条件となってきます。 ここでいう奇跡とは、医学や科学では解明できない病が、瞬間的かつ永続的に回復する「癒しのわざ」を指します。ヨハネ・パウロ2世は、2005年の死去から6カ月後、フランス人の修道女のマリ・シモンピエールさんのパーキンソン病を治癒したことが奇跡と認められ、福者となりました。彼女は、奇跡が起こる前夜、同氏の名前を鉛筆で書いて祈っていたとのことですが、科学的な観点から治癒の因果関係は解明できなかったそうです。 福者になった後、聖人になるにはさらにもうひとつ奇跡を起こさなければなりません。ヨハネ・パウロ2世は福者になったわずか6年後の2011年5月1日、コスタリカ出身の女性を病から救ったことが認められました。このときも女性は、枕元に立ったヨハネ・パウロ2世の姿を見たそうです。
教科書に出てきたあの人物は?
さて、ここまで聖人なるための条件を説明してきましたが、世界史の教科書でよく見かける“あの人物”は聖人に認められているのでしょうか? 以下に列挙していきましょう。 ●ジャンヌ・ダルク(1412~1431) 今なお、フランス救国の国民的ヒロインとされるジャンヌ・ダルク。百年戦争の末期、イギリス軍に占領されていたオルレアン解放の先頭に立った彼女ですが、わずか19歳で命を絶たれてしまいます。死後25年後、復権裁判によって無実と殉教が宣言され、1920年に聖人と認められました。