監視委、インサイダーで「33万円」得た40代男女に課徴金
四季報オンライン
「市場の番人」――。日夜株式市場を監視し、相場操縦やインサイダー取引などの不公正な取引を調査する証券取引等監視委員会(監視委)は、畏怖を込めてそう呼ばれている。ひとたび不公正な取引を発見すれば、金融庁に対して課徴金の納付命令を勧告や、検察に刑事告発を行うこともある。投資家を守り、市場機能の健全化を促すという目的のため、その絶大な権力を適切に行使しているか、監視委はその真価を常に問われる立場でもある。そんな市場の番人が今回処分に踏み切ったのは、どのような案件か。(本連載は不定期で掲載します) 勤め先の会社に対する公開買い付けの情報を得た40代男性が、飲食店従業員の40代女性に"ひと儲け"させてあげようと、正式発表を前に株式を買い付けさせた――。 証券取引等監視委員会(監視委)は2月28日、インサイダー取引を認定したとして、株式会社N・フィールド(東証1部上場、当時)の社員だった男性とその知人の女性に対し課徴金納付命令を発出するよう金融庁に勧告した。 課徴金の額は、内部情報を伝えたとされる男性側が17万円。実際に取引を行ったとされる女性側が34万円だった。 「比較的、少額ではある――」監視委幹部は言う。「が、監視委員会は取引規模や利得の多寡にかかわらず幅広く不公正取引を監視しており、本件を通じてたとえ少額取引であっても課徴金調査の対象となることを改めて周知し、違反行為を予期する効果を期待している」 いったい、2人の間で何があったのか。
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川辺 和将