連日の為替介入観測、米国利下げ観測で歴史的円安の終わりが見えてきたか
連日の為替介入実施の可能性
米労働省が米国時間7月11日(木)に発表した米国6月CPIは、事前予想を下回り、物価上昇圧力が着実に低下していることを裏付けるものとなった。この統計を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利下げするとの見方が強まり、為替市場はドル安円高に振れた。 このタイミングを捉えて、日本政府は「円押し上げ介入」を実施した可能性が高いとみられる。短期間のうちに1ドル161円台後半から157円台まで4円以上もドル円レートが動くのは、通常の取引では考えられず、政府による為替介入が強く疑われる状況だ(コラム「米国6月CPIの下振れで金融市場はFRBの9月利下げをほぼ確信:日本政府は円押し上げ介入を実施」、2024年7月12日)。3兆円程度のドル売り円買い介入が行われた、との観測もある。 米国時間12日にドル円レートは、1ドル158円台後半から10分程度のうちに1ドル157円30銭台まで円高ドル安に振れた。前日ほどの大きな動きではなく、可能性が極めて高いとまでは言い切れないが、日本政府が連日ドル売り円買いの為替介入を実施した可能性が考えられる。
歴史的な円安は1ドル160円~165円で終焉か
2022年からの歴史的な円安の動きは、最終局面に近づいていると考えられる。為替介入の効果は一時的ではあるが、米国でFRBの利下げ観測が強まるというファンダメンタルズの大きな変化が生じていることが、円安を食い止める効果を生じさせている。 実際に、FRBが9月に利下げに踏み切ることを金融市場が確信すれば、ドル円レートは円高の流れに転じるきっかけとなるのではないか。そこに至るまでにはなお多少の時間があるが、それまで、政府の為替介入と日本銀行の円安けん制によって、時間稼ぎを行うことは可能だろう。 為替介入の効果が徐々に剥落する中、ドル円レートが再び1ドル160円台に乗せる可能性は十分に考えられるが、165円に到達する可能性はかなり低下したと見ておきたい。1ドル110円~115円から始まった歴史的な円安は、1ドル160円~165円までの約50円の幅で終焉するものと予想される。