既成概念を覆せ! 革命を描いた勇気と希望の映画5選!
野球界に風穴を空けた常識破りの一手とは!?『マネーボール』
2000年代のメジャーリーグで、資金不足にあえぐアスレチックスのGM、ビリー・ビーンがデータ分析に基づく新理論を使って資金潤沢な球団に立ち向かう物語。かねてより野球界の古い伝統や固定観念に疑問を抱いていたビリーは、イェール大学卒のピーターとの出会いを通じてデータ分析の有効性に気づき、出塁率をはじめとする様々な数値的根拠に基づいて年棒額にとらわれない各選手の真の価値を算出。少ない資金ながらこれまで過小評価されてきた選手を効率よく獲得し、トップレベルの勝利数を誇る強豪チームへと育て上げていった。 もちろん、改革者には逆風がつきものだ。「数字で野球を語るな!」という厳しい批判の声もあった。それでも一歩も引かず、貧乏球団が生き残るにはこの道しかない!と挑み続けたビリーを、ブラッド・ピットが決して力まない自然体の魅力で好演。努力や根性を語らない新たなスポーツドラマとして評価され、アカデミー賞では作品賞をはじめ全6部門にノミネートされた。
革命のため、民衆のために命がけで戦い続けたカリスマ!『チェ 28歳の革命/39歳 別れの手紙』
ゲバラといえば革命を象徴するアイコンとしていまだ鮮烈な印象と影響力を放ち続ける存在だ。アルゼンチン生まれながら、その目は初めから中南米全体へと広く向けられていた。これらの国々で無数の独裁政権が人々の暮らしを抑圧するのを看過できず、ゲリラ戦によって各地に革命をもたらそうと生涯かけて魂を燃やし続けた彼---。 全長4時間20分を超えるこの2部作は、ゲバラの半生を時系列的に追うような真似はしない。前編では28歳の彼が約2年の歳月をかけてキューバ革命を成功へと導いていく過程と、64年に彼が国連総会で歴史的演説に臨んだ姿を交互に描写。後編ではキューバでの約束された地位や暮らしを潔く捨て、ボリビアに乗り込んで革命闘争を続けた最期の日々を焦げ付くような焦燥感と共に刻む。何よりも主演デルトロの演技は圧巻で、虚飾を脱ぎ捨て、あくまで一人の人間としての慈愛、親しみやすさ、理想の高さを浮き彫りにするリアルさが、観る者を引き込んでやまない。もしあなたがゲバラに興味を持ったなら、若き日の旅路を描いた『モーターサイクル・ダイアリーズ』(2004年)もオススメしたい。