戦後最悪の噴火災害「御嶽山噴火」から10年… “噴火を知らない”娘が父親と共に御嶽山へ 山岳救助隊として活動した父親が伝えたかった「大切なこと」
そして、いよいよ出発の時を迎えました。御嶽初登山となるせいはさんの目標は、5時間以内に登り切ること。出発前に「ちょっとした崖もあるらしいので、緊張感を持って登りたい」と話していましたが、緊張が高まりすぎたのか、歩きはじめは会話する余裕もない様子。
“山のプロ”である父親にしっかりとついて行こうと足を動かし続けますが、舗装された道路とは違い、歩きにくい山道。バランスを崩し、転びそうになることも一度や二度ではありません。それでも、せいはさんは懸命に登り続けます。
山道を歩きながら「登山中は他の登山者を見たらあいさつする」などのマナーも教わります。遭難など、もしものことがあった場合、言葉を交わした記憶が目撃情報として役に立つケースがあるのです。
登山道の途中には、噴火した時に逃げ込むためのシェルターがありました。噴火の後につくられたもので、富樹さんも設置作業を手伝ったそうです。シェルターの天井は噴石にも耐えられる素材でつくってあると、せいはさんたちに説明します。
さらに進むと、背の高い木が生えない「森林限界」に到達しました。せいはさんの身長くらいの植物が生い茂る、その先にあったのは、見渡す限りの絶景。子どもたちからも「すごーい!」「きれい!!」と思わず声が上がります。
初めて見下ろす美しい景色に心を奪われますが、ゴールまであと少し。山頂の近くは大きな岩があちこちに転がる歩きにくい道が続きますが、最後の頑張りを見せます。
そして、出発から3時間半。ついにゴールの「五の池小屋」が見えてきました。なんと予定より1時間以上も早い9時16分に到着!
登り切るだけではなく、大切なことを娘に伝えるのも富樹さんの目的の一つ。「五の池小屋」付近から見える剣ケ峰(頂上)を指さし、「あの裏側が噴火口になっている」と説明します。 今井せいはさん: 「けっこう高いところで噴火したなと思いました。もうちょっと低いところで噴火したかと」