「コンビニ弁当は高すぎる」「庶民アピールはどうなのか」…。平沢勝栄氏がランチ風景を投稿して批判殺到、一体なぜなのか?
■議員報酬の使途まで制限すべきか そうした背景からすると、政治家に向けられる鋭い視線は、「身から出たサビ」だと言える。とはいえ、議員も人間だ。ちょっとした食事でモチベーションを高めることもあるだろう。完全擁護とは言わないが、少したたきすぎのようにも思えてしまう。 当然ながら、調査研究広報滞在費(旧文通費)や政策活動費を、政治に直結しない目的に使用するのであれば、批判の的になっても当然だ。しかし、給料であるところの議員報酬は、労働や拘束時間への対価であり、その使途まで制限すべきなのだろうか。
たしかに国会議員は高給取りだ。2024年7月に衆議院・参議院から公開されたデータによると、国会議員の平均所得(2023年)は2530万円だった。人によっては、不動産や企業経営などにより、それ以上の収入を得ているケースも珍しくない。 しかし、もし大金を持っているのなら、蓄財するのではなく、むしろ豪快に使ってもらったほうがいいのではとの見方もできる。もちろん適法の範囲内で、汚職につながらない用途が求められるが、消費者のひとりとして経済を回すことは好都合なのではないか。
■問題は「なぜ、それをSNSに投稿するか?」のほうだ とは言っても、その使途を「わざわざSNS投稿する必要があるか」は、一考の余地がある。イメージ戦略において、プラスになるのか、逆効果なのかを見極めないと、政治生命に直結してしまう。 物価高や値上げの昨今だ。少なくない人にとって、コンビニ弁当はもはや安いものとは言えなくなりつつある。無関係な人がいない「食」に関する投稿は、本人の意図があろうがなかろうが、「庶民派アピールってこと?」「いやいや、本当に貧しい人たちはコンビニ弁当なんか買えないんだよ!」と受け止められる可能性がある。
それを考えると、もはや食についてSNSで投稿するのは、今の時代は控えたほうがいいのかもしれない。 また、投稿が逆効果になりうるのは、食事にとどまらない。たとえば「なんとか財団に寄付しました」と、理事長と握手する写真を上げれば、おそらく「善意を政治利用している」と猛攻撃されるだろう。自らはアピールせず、人づてに「寄付したらしいよ」と広がるくらいが、適度なさじ加減なのだ。 冒頭紹介したSNS投稿へ戻ると、平沢氏に対するバッシングは、筆者の個人的な感覚ではあるものの、「ちょっと過剰反応なのでは?」と感じる。あくまで「時短」を理由にしており、価格について言及も示唆もしていないからだ。「忙しいアピール」に対する嫌悪感ならまだしも、「庶民アピール」とは感じにくい。