2024年の賃金引き上げ企業は91.2%。賃上げ率は4.1%で「卸売業、小売業」は4.3%
厚生労働省は10月28日、2024年の「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表した。それによると、2024年の賃金引き上げ企業は91.3%。賃上げ率は4.1%で、「卸売業、小売業」は4.3%。賃金の引き上げ額・引き上げ率ともに1999年以降の調査で最高となった。 調査は全国の民間企業における賃金の改定額・改定率・改定方法などを明らかにすることを目的に、7月から8月にかけて調査を実施。常用労働者100人以上を雇用する民営企業を対象に、3622社を抽出して調査、1783社から有効回答を得た。 ■ 賃金改定の実施状況
賃金の改定の実施状況(9~12月予定を含む)を見ると、「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業は前年調査から2.1ポイント増の91.2%。「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」は同0.1ポイント減の0.1%、「賃金の改定を実施しない」は同3.1ポイント減の2.3%、「未定」は同1.1ポイント上昇の6.4%だった。
従業員数別の傾向は、全ての規模で「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業が9割を超え、いずれも前年の割合を上回った。従業員数が多いほど引き上げ実施率は高く、5000人以上の企業では同1.8ポイント増の99.1%だった。 産業別では、「鉱業、採石業、砂利採取業」「電気・ガス・熱供給・水道業」「医療、福祉」の3業種が賃上げ実施率100%。「卸売業、小売業」は同1.9ポイント増となる91.1%が賃上げ実施となった。「運輸業、郵便業」は同3.4ポイント増の74.4%にとどまり、賃上げ実施率のワーストとなった。 ■ 賃金の改定額・改定率
「1人平均賃金の改定額」は1万1961円(前年9437円)となり、平均改定率は同0.9ポイント増の4.1%となった。
従業員数別では、改定額・改定率ともに全ての規模で前年を上回った。従業員数が多いほど改定額・改定率が高い。労働組合の有無別では、労働組合ありでは改定額1万3668円(同1万650円)で改定率は同1.1ポイント増の4.5%。労働組合なしは改定額1万170円(同8302円)、改定率は同0.5ポイント増の3.6%だった。 産業別では、「卸売業、小売業」は改定額1万1922円(同8763円)で改定率は同1.2ポイント増の4.3%。「運輸業、郵便業」は改定額9030円(同6616円)で改定率は同0.5ポイント増の3.2%だった。おおむね全業種で改定率は上昇していたが「宿泊業、飲食サービス業」のみ改定率が同0.7ポイント減の3.7%と減少した。
年次推移をみると、改定額・改定率ともに、2011年の調査以降は概ね増加傾向で推移、2020年と2021年に低下したが、2022年以降は上昇している。