「いろんな感情になって、心が折れそうになっても這い上がって…」舞華、紆余曲折を乗り越えて掴んだ史上初“全勝優勝”。次は「約束」のタイトルマッチへ
苦しんだ時間を笑顔で振り返る。それだけの強さを、舞華は身につけたのだ。舞華が全勝優勝を果たした大会では、中野たむがナツコを破り赤いベルトを手にした。 たむは王者だった昨年10月、ナツコを相手に赤いベルトの防衛に成功。しかしこの試合で負傷したため、長期欠場となりベルトも返上した。空位になったベルトの新王者決定戦を制したのが舞華だった。 つまり、舞華は“時のチャンピオン=最強の存在に勝って戴冠する”という経験をしていない。それはタイトルを返上したたむも気にしていたことだ。タイトルをかけて闘うことは、2人の間での「約束」だった。 「私のこと、待ってたんじゃない?」 リング上、舞華はそうたむに言った。たむは「あんたが私のこと待ってたんでしょ」。 「約束、しっかり果たそうね」という言葉とともにタイトルマッチが決まった。めぐりめぐって、舞華がたむに挑む。舞台は9月14日の大阪大会だ。 リーグ戦全敗の屈辱からベルトを掴んだたむの執念は侮れない。たむとしては、昨年のリーグ戦優勝者であるすずとも対戦したいはずだ。舞華はタイトル戦線の“ねじれ”を元の形に戻すことができるのか。たむ戦の先には、ナツコへのリベンジも視野にある。 「私がすべてを正します」 正統で、かつ最強の王者が誕生する可能性は十分。そう今から言ってしまおう。舞華がリーグ戦で見せた闘いぶりは、それだけ圧倒的だった。 取材・文●橋本宗洋