《ブラジル》VERSTAがジュサラ椰子森林農法で会議「荒廃農地再生して地域活性化に」
日本のNPO法人「VERSTA」(向井地純一理事長)は8月19日~29日の間、「2024年度ジュサラ椰子による森林農法プロジェクト会議」と「森林農法技術交流会」をサンパウロ州南部セッチ・バラス市で開催し、農業関係者130人が参加した。オンライン参加を含めれば計約200人。 ジュサラ椰子は元々大西洋岸森林地帯に群生していたが19~20世紀にかけて食用パウミットとして乱獲されて9割以上が喪失、現在絶滅危惧種に指定されている。それを商品作物の柱にして樹木と農作物を一緒に植え、植物同士や生態系の相互作用によって農業・林業・畜産業を同時に行う「森林農法」を広めることで地域活性化を図るプロジェクトだ。 近井昭夫VERSTA副理事長、小野瀬由一専務理事、太田泰嗣理事らが21日にレジストロ入りし、パリケラアスーのモデル圃場視察、レジストロ市長表敬訪問などをした。22日はラポーザ区のモデル圃場を二つ視察、セッチ・ヴァ―ラス市長表敬訪問、23日にセッチ・バラスの共同体センターでプロジェクト会議を行った。 会議では清水享在サンパウロ総領事が動画で挨拶、レジストロ市長、セッチ・バラス市長らは対面挨拶した。サンカルロス連邦大学のフェルナンド・シルベイラ・フランコ教授、小野瀬専務理事ら5人が講演した。 小野瀬さん(71歳、山形県)は「近隣の大学生が50人ほど集まり、若い人の関心の高まりを感じた」という。レジストロ近郊には41農家が5万6千本の樹木を植えた森林農法を試みており、計59Haの農地が広がっている。同椰子は結実までに7年かかるが1万本がその段階で商品化が始まる。小野瀬さんは「果実の栄養価が高く、アンチエイジング効果がある」と期待する。 拓殖大学大学院非常勤講師の太田さん(43歳、埼玉県)は「速成のバナナの日陰で、直射日光が苦手な苗のジュサラ椰子を育て、バナナが収穫される頃にはジュサラが追い越して太陽の光が必要な時期になるなどのサイクルが興味深い。この組み合わせが色々と研究されており、貴重な成果を生んでいる」と説明した。 元森林院総裁(現IPA=Instituto de Pesquisas Ambientais)のルイス・アルベルト・ブッチ氏(66歳)は、「荒廃した農地を森林農法によって再生して小農家の売り上げを増やす取り組みは、地域活性化につながるので歓迎されるプロジェクト。レジストロ周辺には放置されたお茶の樹がたくさんあり、それを有機茶として商品化することに高い可能性を感じる」と称賛した。