中国で開催の夏季ダボス会議、関税巡る企業の不安が浮き彫りに
バイデン氏、関税引き上げは「ずる賢い」中国から国を守るためと説明
会議に参加した中国政府関係者は、貿易や中国市場に参入している国際企業へ最近の関税が及ぼす影響についてのコメントを控えた。また、米国や欧州を直接名指しすることはほとんどなく、代わりに関税が世界の気候変動対策を脅かし、インフレのリスクを高めることに照準を定めた。
中国国際貿易促進委員会(CCPIT)の任鴻斌会長は「皆が気候変動に向け共通の取り組みをしている今だからこそ、これは中国の輸出業者だけでなく」、他の国の経済にも有害だと述べた。任氏は「これは私たちの共通の意志に反しており、2023年の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)にも反している」と付け加えた。
今回の夏季ダボス会議は、新興国市場とテクノロジーに焦点を当てており、その分野の多くの代表者が参加していた。しかし、資金やパートナーを求めている企業でさえ、貿易戦争の嵐の中で警戒を強めている。
スイス拠点のスタートアップ企業、WasteFlowは、人工知能(AI)と機械学習を活用して廃棄物を識別・分類し、リサイクルの効率化に取り組んでいる。同社は、コスト増と潜在的な問題の発生を避けるため、一部の部品を中国の深圳ではなく台湾から調達することを検討しるという。「中国が輸入品への関税を引き上げ、欧州も同様の措置を講じるのであれば、中国とのビジネスはますます複雑化し、コストもかさむため、もはや意味をなさなくなるだろう」と、同社のテオフィール・アグレスティ最高執行責任者(COO)は述べた。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、企業が世界的な関税や貿易政策にどのように対処しようとしているかを示す別の例として、中国の経営陣がマレーシアの政府高官と会談し、同国に製造拠点を移せば米国の関税を回避できるという保証を求めたと報じた。
中国機械工業連合会会長で国営中国保利集団の徐念沙会長は、企業がグローバル化を進め、新たな変化に対応することは不可欠で、最終的には、企業は最も安価な選択肢を求めるだろうと述べた。