セブン65%減益、買収提案受ける中「自力成長路線」に不透明感…3~11月期・海外で苦戦
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は9日、2024年3~11月期連結決算を発表した。米国を中心とする海外事業の苦戦が響き、最終利益は前年同期比65・1%減の636億円だった。カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受ける中、自力での企業価値向上に不透明感が漂っている。 【表】クシュタールのM&Aの歴史
本業のもうけを示す営業利益は23・1%減の3154億円だった。特に厳しいのが海外コンビニ事業だ。
長引くインフレ(物価上昇)で主な顧客層である中低所得者の買い控えが続いており、米国コンビニ事業の営業利益は26%減だった。店舗に併設するガソリンスタンドの売り上げも減少した。
昨年以降、売上高の累計も前年同期を下回る水準が長引いている。不採算店舗の見直しを進めており、閉店費用として567億円を特別損失として計上した。
国内コンビニの営業利益も8%減と振るわない。物価高で消費者が節約志向を強め、来店客数が減少している。
セブンは低価格帯商品を充実させるなどの対策を打ち出し、既存店の売り上げ・客数とも回復傾向にあるとした。昨年12月はいずれも前年同月比でプラスとなった。
25年2月期の通期予想は最終利益を27・4%減の1630億円とする従来予想を据え置いた。記者会見した丸山好道常務は「中長期的な成長につながる手応えも感じている」と強調した。
セブンは買収提案を受けた後、30年度にグループの売上高を30兆円以上に拡大させる目標を掲げるなど企業価値向上を急いでいる。成長の主軸と位置付ける米国事業について、米国法人のスタン・レイノルズ社長は会見で「あらゆる業務からコスト削減の努力をさらに強化する」と述べた。
一方、クシュタールからの買収提案に加え、セブン創業家も対抗策として経営陣による自社株買収(MBO)を提案し、社外取締役で構成する特別委員会で検討している。ただ、MBOには総額9兆円にも上る買収資金が高いハードルとなり、協議が難航している。
丸山氏は両社の提案について「今の段階では(判断する)材料が出そろっていない」と述べるにとどめた。