デジタル広告 の未来を探る:「いまのデジタル広告市場のエコシステムには、ねじれが起きている」The Trade Desk 日本担当ゼネラルマネージャー 馬嶋 慶氏
デジタル広告の未来を探る、DIGIDAY[日本版]インタビューシリーズ。今回は、世界有数の独立系DSPであるThe Trade Deskの日本担当ゼネラルマネージャーを務める馬嶋慶氏に、昨今のデジタル広告にはびこる課題を聞いた。 馬嶋氏は、大手広告代理店でシニアセールスを経験したのち、Facebook日本支社の立ち上げメンバーとして活躍。スタートアップ企業でのマーケティング責任者や外資系広告ソリューション企業のカントリーマネージャーを努めたのち、2020年よりThe Trade Deskの日本担当ゼネラルマネージャーに就任している。グローバルでデジタル広告の潮流を把握する人物と言ってもいいだろう。 「単価だけに引っ張られるマーケティングは果たして正しいのか?」と、馬嶋氏は問いかける。DIGIDAYでは、DSP視点でのデジタル広告市場の問題点を聞いた。そこで見えてきたのは、広告の裏にある透明性に関する意識の違いだった。 ◆ ◆ ◆
──現在の日本市場におけるデジタル広告について、馬嶋さんが考える主要な問題点を教えてください。
あくまでDSPサイドとしての見え方だが、いまのデジタル広告市場のエコシステムには"ねじれ"が起きていると思う。ユーザーはウォールドガーデンよりもオープンインターネットで費やしている時間が多いのにもかかわらず、デジタル広告へのブランドの投資は、ウォールドガーデンへのほうが多い現状だ。 問題は、きちんとした情報を発信する信頼できるパブリッシャーに、広告という投資が行き届いていないこと。 (ウォールドガーデンはアドフラウドやブランドセーフティに対する審査基準の甘さが指摘されているが、)たとえば我々は、川下のパブリッシャーの事業やコンテンツに対して、テクノロジーと目視を融合して広告のクオリティを担保している。DSPはオープンインターネットのマネタイズに責任を持ち、助けることがミッションだからだ。インクリメンタルリーチという意味合いでも、ブランドはオープンインターネットに目を向けるべきだ。