米保健当局がSNSに「警告ラベル」の表示を呼びかけ 欧州では一部機能が停止 変化が求められるSNSの現状とは?
また2024年3月、フロリダ州では14歳未満の児童がSNSのアカウントを持つことを禁止する法案に知事が署名したと発表。14・15歳は保護者の同意があれば、アカウントを作成できるとしている。その他、カリフォルニア州、ルイジアナ州、オハイオ州、ユタ州など全米の約7割の州も、オンラインプラットフォームを規制する同様の法案を推進しているという。 欧州では、2024年2月、安全で透明性のあるオンラインサービスの実現を目的としたデジタルサービス法(DSA)が全面施行された。同法案はEU内にユーザーがいるオンラインプラットフォーム(小規模企を除く)に対して、違法コンテンツへの対策や未成年者の保護措置等を義務付けるものだ。 同月、欧州委員会はバイトダンスに対して、「TikTok上の違法コンテンツ、及びコンテンツの視聴による未成年の精神・身体に及ぶリスクへの対策が不十分」として調査を始めたと発表した。 さらに、2024年4月にはTikTokが新たに始めた軽量版のアプリ「TikTok Lite」に対して、「利用者を依存させるような中毒性があり、リスクに対する十分な対応策を講じていない」として批判。 TikTok Liteは、動画の視聴や動画に対するリアクション、友人の招待などのミッションをこなすことでポイントが獲得でき、それをアマゾンのクーポン等に交換できる「ポイ活」の仕組みを持つ。これに対して、欧州委員会は「年齢確認の仕組みが不十分であり、未成年者にとっても有害」だと指摘したのだ。これを受け、TikTokは同機能を欧州で一時停止すると発表した。 欧州委員会は、メタに対しても厳しい姿勢で調査を進めている。2024年4月には偽情報への対策が不十分として、6月にはInstagramとFacebookのアルゴリズムに中毒性があり未成年者にとって有害だとして、それぞれ調査を開始した。 近年、SNSの運営企業は未成年保護のためとして、さまざまなアップデートを打ち出している。しかし、欧米の規制強化の動きを見ると、各社の対応が十分とは言えないことを示している。オンラインサービスを提供する企業には、さらなる安全対策や説明責任が求められている。 (※)ランダム化比較試験:研究の対象者を2つ以上のグループにランダムに分けて、治療法などの効果を検証すること
取材・文:小林香織/ 編集:岡徳之(Livit)