福岡発「海の中道」で行く「志賀島」 歴史を巡る絶景サイクリング
海上に伸びるまっすぐな道「海の中道」
福岡県福岡市の、海上を真っ直ぐと伸びる「海の中道(うみのなかみち)」を渡って辿り着くのが「志賀島(しかのしま)」です。太古からの歴史と、絶景が連続する1周10kmの島で、サイクリングを楽しむことができます。 【画像】「志賀島」の絶景・歴史・グルメを画像で見る(14枚)
「海の中道」は、北の玄界灘と、南の博多湾を隔てる陸繋砂州(りくけいさす)を走る1本の道です。「志賀島」はこの大きな砂州により、本土と陸続きになった全国的にも珍しい島です。 「海の中道」と「志賀島」は、古くは奈良時代に編纂された『筑前国風土記(ちくぜんのくにふどき)』にも登場します。万葉集の歌に詠まれたり、鎌倉時代の元寇(げんこう)では戦いの地にもなりました。 福岡市街地から出発すると、博多湾沿いをぐるっと回って「海の中道」を目指すことになります。「海の中道大橋」を渡った雁の巣(がんのす)エリアから「志賀島」までは約10kmの道のりとなり、幅の広い歩道を利用したサイクリングロードが整備されています。 「志賀島」まであと1kmとなったところが、「海の中道」のハイライトです。最も砂州の幅が狭まるこの区間。右手は波が押し寄せる玄界灘の荒々しい外海、左手は穏やかな博多湾の内海であることを実感できます。 吹き付ける風によって路肩には砂が積もっています。砂州は、現在も刻一刻と形を変えていることがわかります。砂に車輪が取られないよう、十分に注意しましょう。
陸続きだけど、離島の雰囲気
「志賀島」は、「海の中道」によって陸とつながってはいますが、雰囲気は離島そのもの。気に入った景色が現れたら、ペダルを止めてぼーっとするのも良いでしょう。島特有のゆっくりとした時間が流れ始めます。
それでは、外周路の見所をいくつか紹介しましょう。 「志賀島」は、漢委奴国王印(かんのわのなのこくおういん)が発見された島としても有名です。紀元57年に、後漢(中国)の光武帝(こうぶてい)が、倭(日本)の奴(九州北部に存在していた国)の王に授けた金印と考えられていて、国宝に指定されています。 金印が発見されたことを記念した「金印公園」では、大海原を見渡すことができる展望台に、金印のレプリカが展示されています。ここは必見です! 「志賀海神社(しかのうみじんじゃ)」も訪れたいスポットです。海上交通の安全や豊かな海産物の恵みをもたらす「綿津見三神(わたつみさんしん)」を御祭神として、古くから「海神の総本社」として信仰されてきました。 人々が太古から海と共に生きてきたことを実感できるコースに、ぜひお参りに立ち寄りましょう。 外周だけでは物足りない人のために、アクセントになるのが「潮見公園展望台」です。急勾配を含む短い登りの先にある、標高170mの展望台からは「海の中道」が一望できます。砂州の大きさに驚くと同時に、走ってきた道のりが見えるので充実感があります。