2回の経営破綻から従業員900人へ。人口1万人の過疎地で奮闘する中川敬文の仕事術【HOW I WORK】
ハワイを超えるプライベートビーチが宮崎にあった!
──今が一番大変ということですが、ストレスはどのように解消していますか? ストレス解消法として、はっきりとあるのが海と犬です。 休日の楽しみにしているのが、自宅から歩いて5分ほどの場所にあるビーチ。このビーチはほとんど人が来ないため、プライベートビーチのように使っています。 ──羨ましいです! インフィニティチェアを車に積んでおいて、毎週犬を連れていき、本を読むのが最大の至福の時。だいたい、3時間ほどは時間を過ごします。 僕の中ではここのビーチはハワイ以上。週末の楽しみにしています。
企画者は哲学を持て。小さな日本初を作り続ける
──これまでもらったアドバイスで印象的なものは? UDSの創業者、梶原文生さんからもらったものです。 僕は今でも企画者でありますが、企画には哲学を持つ必要性を教えてくれた方です。梶原さんの企画の哲学が、「かっこよくて、儲かって、意義のあることを作る」。今でも僕の中に強く残っています。 かっこよさとデザイン性を持ちながら、収益を上げ、地域の役に立つ意義のある場をつくっていくことを会社として取り組む事業の判断基準にもしていました。僕の場合は少しアレンジして、「おもしろくて、儲かって、意義のあることを作る」を哲学にしています。 ──1つでも難しいのに、3つもですか! この3つを兼ね揃えるのは、とても難しいことです。でも、そこを追求するものづくりはすごく楽しい。若い社員に対しても同じアドバイスをしていますし、僕自身も実践しています。 結局それが僕みたいなニッチが生き残る術であり、事業を考えるときにもユニークかどうかは必ず考えるようにしています。中学校でまちづくり部の部活は、日本初。小さな日本初を増やしていくことは大事かなと思います。
社長を退任するときに後押ししてくれた一冊
──自分の人生に影響を与えた一冊は? 僕の人生に大きな影響を与えた一冊は、内村鑑三の『後世への最大遺物』です。 この本は、誰でも自分が生きた証として「勇ましい、高尚なる生き様」は残せるということを言っています。 この本を読んだのは2018年ごろ。ちょうど悩んでいた時期です。 UDSを再生し、目標が達成される一方で、次のステップを見失っていたころ。この本を読んで、宮崎への移住や社長からの退任を決断する勇気が出ました。 お金も事業も思想もパッとしないけど、過疎地に来て子どもたちと奮闘している様子は、絶対的な評価はなくても、一つの生き様としてはありではないかと。