上白石萌歌、赤楚衛二と中島裕翔との共演シーンは「不思議と何も相談せず...」
赤楚衛二が主演を務める映画『366日』が1月10日(金)に全国公開される。 2008年に発売されたHYの代表曲「366日」をモチーフに誕生した物語。2024年、音楽会社に勤める真喜屋湊(赤楚)のもとに一人の少女が現れ、あるMDを渡される。そこに入っていたのは、15年前に別れた恋人・玉城美海(上白石萌歌)からのメッセージだったー。 【写真を見る】映画『366日』に出演の上白石萌歌が語る赤楚衛二や中島裕翔の印象とは? 20年前、沖縄の高校で先輩と後輩として出会い、運命の恋に落ちる2人。上京してからも幸せは続いていたが、湊が突然別れを告げて...。 今回、切ない純愛ラブストーリーのヒロインを務めた上白石萌歌に話を聞くことができた。上白石視点から語られる映画『366日』とはー。 ――今回の物語のモチーフとなったHYさんの「366日」について。聴いていた当時の印象と現在とでは、楽曲の捉え方も変わってくるものなのでしょうか? 「『366日』を聴いた当時の印象としては、恋の痛みや失ったものに対しての悲しみを多くはらんでいる曲だなと思っていたんですけど、映画『366日』を撮り終えて、大人になった今考えると、そういった痛みですら幸せというか...。誰かに対して大事だなと思うことや、その中で生まれる苦しみや悲しみもすべてひっくるめて美しいものだと思うので、すごく幸せな曲だなと思うんですよね」 ――本作で美海の20年を演じました。思いも環境も変化する長い年月を演じるなかで、心がけたことがあれば教えてください 「人生の20年を約2時間の尺でやるので、私の気持ち的には朝ドラのダイジェストを撮っているような気持ちというか(笑)。『今日は何歳で、明日は何歳だよね』と確認をしながらやっていました。沖縄と東京も別パートでしたし、恋が実った日と別れて悲しい日を同じ日に撮らなきゃいけないこともあったので、心情的には大変ではありましたね。ただ、周りの方や環境に助けてもらいながら自分の現在地を探れたので、あまり苦ではなかったです。 美海については、相手のことを一番に思える人だと思っていて、誰かに『与えること』が軸になる気がしたので、その場にいる方のお芝居を信じて受け取って返していけば、自然とその年齢に見えるだろうなと思ってお芝居をしていました」 ――湊を演じる赤楚さんについては、どんな印象を持たれていましたか? 「共演が2回目の赤楚さんは、天真爛漫で、おちゃらけるのが大好きで、無邪気な少年というイメージがあるんですけど(笑)、湊という役になると、太陽と月で言うと月みたいな...たくさん秘密を抱えているようなミステリアスな人として現場にいらっしゃったので、美海が湊先輩に惹かれる気持ちも分かりましたし、何より赤楚さんが『湊先輩』という美しいものを体現していた気がして、すごく素敵だなと思っていました」 ――美海に想いを寄せる幼なじみ・嘉陽田琉晴を演じる中島裕翔(Hey! Say! JUMP)さんの印象はいかがですか? 「中島さんとも共演は2回目なんですが、本当の中島さんがどういう人なのか分からないくらい琉晴として現場にいてくださいました。中島さんと同じシーンの日があると、自然と現場が活気づきますし、明るくなりますし、本当に役として生きていらっしゃるなと思いましたね。 あと、忘れられないのが、役に対しての追求心です。沖縄弁を完璧にマスターしているだけでなく、カチャーシー(沖縄の伝統的な踊り)を踊るシーンで、『僕、昨日YouTubeを観てめっちゃ勉強してきたんですよ』とおっしゃっていて、いざ地元の方と踊ったら、皆さん絶賛するぐらいお上手で...役に対する愛情が半端ない方だなと思いました。そばにいて勉強になることもいっぱいありましたね」 ――共演シーンの多かった赤楚さんにも驚かされることが多かったのではないでしょうか 「前作でご一緒したときも思ったんですけど、例えば台詞を聞いている時の表情や佇まいが本当に素晴らしいんです。お芝居ってどうしても台詞を発信することばかりに力を注ぎがちなんですけど、個人的には受けることの方が難しいなと思っていて。そんななか、赤楚さんの『表情』で自分のお芝居が救われることもあったり、想像以上の佇まいを見せてくださったりしたので、今回も赤楚さんの『受けのお芝居』にめちゃめちゃ救われたなと思います」 ――同じ高校の湊、美海、琉晴の関係性については、どのように作り上げていったのでしょうか? 「よーいどんで始めた本読みの時点から、不思議と何も相談せずに関係性ができていました。琉晴といると心から安心した振る舞いになるなというのは、すぐに感じましたし、湊といるときは、また別のベクトルで違う空気が生まれていました。それぞれ役を演じていらっしゃった赤楚さんと中島さんの持つ力のおかげだなと思っています」 ――上白石さんは、美海と湊、美海と琉晴、それぞれの関係性についてはどう感じられましたか? 「美海と琉晴のやりとりは見ていてすごくほっこりして、本当に理想的な2人だなと思いました。ただ、同時に切なくもなるし、ずっとこのまま一緒にいてほしい気持ちも生まれましたね。湊は湊でものすごく魅力的なので、彼との関係は刹那的な美しさがあって...。一緒にいる人によってこうも違うんだなと、お母さんみたいな気持ちで見てる自分がいました(笑)。すごく不思議な気持ちになりましたね」 ――美海は、将来を決める際、自分の想いを大切にしていた印象があります。上白石さんが、お仕事や将来を決める上で、何か大切にしている軸はございますか? 「『迷う前に飛び込んでみる』というのはすごく大事なのかなと思っています。今まで自分が携わってきた作品や、いろんなことを振り返ってきたときに、その出会いがあって良かったなと思うことが多いんです。 何事も飛び込む前が一番怖いんですよね。例えば『自分にこの役は無理かもしれない』と思うことがあっても、実際に飛び込み、自分が携わったことの意味が少しでも作品の中にあると、本当にやって良かったなと思うので、迷うんだったらやってみる、というのは軸としてあります」 写真・文=浜瀬将樹
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